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印刷・製本コラム

冊子の文字サイズと読みやすさ

文字サイズ1

IllustratorやPhotoshopなどのDTP系アプリケーションやWordやPowerPointなどのオフィス系アプリケーション、どちらも文字サイズをプルダウンメニューから選択したり、直接数値で設定することが可能です。


皆さんはその時、「この数値ならこのぐらいのサイズだな」とイメージしながら作業できていますか?実際にプリントアウトしてみたら思ったよりも文字が小さくて読みにくかったり、逆に大きすぎて不格好に見えてしまったりしたことはありませんか? 今回は文字サイズと読みやすさの関係、特にどこまで小さな文字を使ってもいいのかという点を考えてみましょう。必要な情報が伝わらなかったり、読み手の誤解を招いてしまうことを防ぐために欠かせない知識ですので、しっかりと身につけておきましょう。


まず、文字の大きさの単位ですが、基本的に「ポイント(ptと表記します)」と「級(Qと表記することもあります)」の2つがあります。今まで「ミリ」とか「センチ」だと思っていた人、いませんよね?


その由来や、なぜ2つの単位があるのかについては、また別の機会にご紹介しますが、ひとまず今回はそれぞれの単位を、皆さんが慣れ親しんだセンチメートル法で表してみます。
・1ポイント=0.35 mm(小数点以下2桁で四捨五入しています)
・1級=0.25mm
少しイメージしやすくなりましたよね。


これをポイントと級の関係に置き換えると
・1ポイント=1.40級
・1級=0.71ポイント
となります。


アプリケーションによっては、ポイントと級のどちらの単位を使うのかを設定できますし、文字サイズの数値の後ろに単位を打ち込むことで指定することもできます。また、線の太さや図形のサイズなどは仕上がりがイメージしやすいということで、基本的にはセンチメートル法が用いられています。


では、もっと具体的に、どんな印刷物にどんな文字サイズが用いられているのかをご紹介します。


主な全国紙の本文サイズ=9ポイント〜10ポイント


新聞社によって差があります。また縦横の比率が9:10と、やや縦方向を縮めてあるのが一般的です。これらの数値は時代背景によって変動があり、紙面のリニューアルに合わせて書体や変形率、行間ピッチなどが見直されています。


不動産広告の文字サイズ=原則7ポイント以上


業界の自主ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」によると、「原則として7ポイント以上の大きさの文字による表示」とされています。この「原則」というのが曲者で、括弧書きで「7ポイント未満の大きさの文字による表示であっても、文字の大きさのほか、文字数、レイアウト、書体、文字色、文字間隔、行間隔等を勘案して総合的に判断し、見やすい大きさの文字であると認められる文字による表示を含む」と付け加えられています。あくまでも努力義務であって罰則などはありませんので、7pt以下の文字も見られます。


商取引の契約書など=8ポイント以上


金融取引を規制する金融商品取引業等に関する内閣府令では、金融商品取引の契約書について「契約締結前交付書面には、日本産業規格Z8305に規定する8ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載しなければならない」と定められています。
同様に特定商取引に関する法律施行規則でも「訪問販売などにおける交付書面には、日本産業規格Z8305に規定する8ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いなければならない」と規定されています。


以上のことからも、ある一定の読みやすさを確保するためには7〜8ポイント以上のサイズが必要だということがお分かりいただけたかと思います。一般には人に読みやすさを感じさせる文字サイズは8ポイント〜12ポイントだと言われていますので、どの規定やルールもその範囲内に収めているようです。


ただし、これらの縛りを受けない広告物に関しては制作者側の判断に委ねているケースが多く、例えばある求人広告会社では社内ルールで「本文サイズは5pt以上、変形率は70%を超えてはいけない」と定めているなど、バラつきがあるようです。

文字サイズ2

では、「じゃあ文字サイズが7ポイント以上なら安心して使えるんですね」というと、そうでもないのです。先ほどの新聞や契約書に関しては、白つまり色のない用紙の上に黒いインクで印刷するという暗黙の了解があるわけです。


皆さんは「7ポイントの明朝体(新聞本文に使われるような書体です)の横棒の太さ」をイメージすることができるでしょうか?実際にIllustratorなどのアプリケーションで文字を打ち込んで調べることができるのですが、例えば冊子印刷ドットコムの「冊」の一番上の横棒の太さは、何と「0.059 mm」しかありません。


一般的に印刷できる線の太さとして0.1mmを推奨していますので、これはかなり細いものです。実際にはインクのにじみもありますし、多少かすれていたとしても見る側は「ここには文字が書かれている」という前提である種の「脳内変換」をしますので問題にはならないのですが、それはあくまでも無色の用紙に黒のインクで印刷されているとう条件があります。


これをややくすんだ赤色に白い文字で表現した場合、どういうことが起きると思いますか?くすんだ赤色はCMYの3色(場合によっては黒=Kも)を含んでいますので、それぞれのインクをかけ合わせる(=3〜4回印刷)わけです。ここに白のインクで文字を印刷するのではなく、それぞれのインクが文字の部分を避けて印刷することで紙の色を見せているのです。


ということは、いずれかの色が湿気や機器の精度の影響でズレてしまった(これを「版ずれ」と呼びます)場合、文字の一部が消えてしまうという可能性があるのです。ですから、色の背景、あるいは写真の上に白文字を乗せると可読性に悪影響を及ぼす危険があるわけです。


必ず伝えたい情報、読み落とすと不利益が生じる内容については、これらのポイントに注意しながらレイアウトしていきましょう。冊子印刷ドットコムには経験豊富なスタッフが揃っておりますので、皆さんが「作ったデータがきちんと印刷できるか心配」「この文字と背景で大丈夫かな」という不安を感じましたら、お気軽にご相談ください。


中綴じくるみ綴じ)・平綴じを中心とした冊子製作で、官公庁や団体をはじめ教育機関など多くのお客様にご満足いただいている冊子印刷ドットコムに、「読みやすく」「伝わる」冊子づくりのお手伝いをさせてください!

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