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印刷・製本コラム

メタメリズムって何?冊子印刷の時も色にこだわろう!

照明


「お店では好みの色だったのに、家で着てみたら色味が違った(泣)」
「モニターで見た色と、納品された印刷物の色が合っていない!」
「ダイニングで見る料理の色が、何だか美味しくなさそう……」
といった経験、みなさんもお持ちだと思います。こういった見る場所によって色が変わる、あるいは複数の異なる物が同じ色に見える現象のことを「メタメリズム」という言葉で呼んでいます。 辞書的には、メタメリズムとは「異なる分子構造を持つ2つの物質の、見た目の色が同じに見える現象」と説明されています。……いや、これだけではよく分からないですよね?人が色を認識したり判別するメカニズムをもう少し説明させてください。


人間は(生物はという言い方もできますが)眼球にある、錐体細胞と呼ばれる光受容細胞が光の波長に反応することで色を知覚します。人間の錐体細胞は赤・緑・青という3種類の異なる波長の光に敏感です。つまり、赤い光を受け取ると赤色の錐体細胞が活動し、緑の光であれば緑の錐体細胞が活動します。その反応パターンの組み合わせで、光の波長や強さを解析し、色を知覚するというわけです。


例えば、赤と緑の錐体細胞が同程度に活動すれば、その色は黄色として知覚されます。そのほかにも、明るさは光の強度に比例した錐体細胞の活動レベルで判断しています。目の複数の光受容細胞の反応が脳内で処理されることで、人は様々な色を知覚できるわけです。


また、色に対する感受性は加齢に伴って変化します。高齢者の場合、青に対する感受性が低下するため、青みがかった色が鈍く見えますが、逆に赤や黄色の感受性は保たれます。さらに明暗のコントラスト感度が低下するため、色の鮮やかさが弱く感じられます。このような加齢による変化には個人差がありますので、あなたが「これって派手かも?」と感じたものでも、他人から見ると「もっと派手でもいいかな?」という齟齬が生まれる原因ともなるのです。


さて、これは印刷物に関する記事ですから、テーマをモニターと印刷物の色が違う原因に戻しましょう。モニターと印刷物で色が違う原因もメタメリズムにあるのです。


具体的には、モニターと印刷物では色を再現(表現)する方法が異なるため、同じデータを基にしても色が変わるのです。極端に言えば、合わせることができないのです。モニターはR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)という3つの光の合成で色を表現します。一方、印刷物はC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)という4色のインクで色を再現します。


さらに、モニターは自ら発光するため、その光は直接目に飛び込んできます。その一方、印刷物では反射した光を見ているのです。反射光は物体の表面で光が拡散・反射されるため、室内の照明や外光などの環境光の影響を受けます。反射光と直接光という違いが、モニターと印刷物で色を一致させる難しさの原因となっているのです。


環境光を考える際に知っておきたいのが「色温度」という言葉です。​​色温度とは、光の色の度合いを表すための尺度で、単位はケルビン(K)で表されます。色温度が高い(数値が大きい)ほど青みがかった冷たい白色、色温度が低い(数値が小さい)ほど赤みがかった暖かい白色になります。


一般的な色温度は次のようになります。
2,000~3,000K=電球色(暖色)
3,000~5,000K=白熱電球並み(中間色)
5,000~6,500K= 昼白色(高温白色)
6,500K~=曇天(高色温白色)


低い色温度からは落ち着き、高い色温度からはクリアなイメージを受けます。例えば2700K付近の電球色は落ち着いた雰囲気を醸し出せるので、寝室やリビングに、また3000K前後の光では赤や黄色が際立ち、料理の質感が強調されるのでダイニングに向いているなど、色温度は実際の暮らしにも密接に結び付いています。最近多く見られるLED照明にはこの色温度を調整する機能もありますので、その変化によってどのように印象が変わるのか、ぜひ試してみてください。



デスク真上




では、デザインや色の評価に適した環境はどのようなものかというと、次のような条件が当てはまります。


・十分な明るさがあること
・照明の色温度は5000K〜6500Kの昼光色が理想
・周囲の壁や床が中間色(淡いグレーなど)で、光の反射による混色を防ぐ
・部屋の装飾もできるだけ無地・単色にする
・衣服に反射する色も影響を与えることを知っておく


これらの条件を揃えることで、本来の色を正確に判定できる環境を実現できます。可能であれば、色評価用の専用スペースを設けることが理想的です。ちなみに、私は前職のデザイン事務所で化粧品のパッケージを担当したことがあるのですが、新製品のパッケージなどを決定する際は上記のような専用の部屋が用意されていました。


よしシビアな色評価をするのであれば、PCのモニターをカラーキャリブレーションするという方法もあります。これは専用の測色器を使い、モニターのRGB各色の出力を測定し、その結果を基に印刷物のインクや用紙などに合わせてモニターの色を補正するというものです。様々なアプリケーションや製品が発売されていますが、個人でも購入可能な価格ですし、正確に測定できれば「こんなはずでは……」といった事故が防げますので、ぜひ導入をご検討ください。


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