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スタッフ日記

鳥の季節

夏の夜、会社の最寄駅である「新大宮駅」近くはとても騒がしい。
飲み屋街を渡り歩く酔っ払いたちで賑わっているからではなく、近くに点在する高校生たちが若さを振り撒きながら闊歩しているからでもなく、毎年夏になると現れる「あの鳥」が至る所で鳴き喚いているからだ。

「あの鳥」はとても小さい。体型はふっくらしていて触ったら柔らかそうな体つきをしている。一羽だけふわふわと飛んでいたらその愛くるしさに、
「ほら、食べなさいよ」
と鞄に忍ばせていたビスケットを砕き潰したものを手のひらに載せ差し出してしまうだろう。けれどもそんなことはしない。

なぜなら。「あの鳥」は一羽で佇んでいることはなく、常に群れをなしているからだ。その数、千羽は優に超えている。たいていは駅前の電線の上にいるのだが、日が暮れる前、暗雲立ち込めたかのごとく夥しい数の「あの鳥」が青空を飛び交う。その光景に出くわすたび、ヒッチコック映画、『鳥』のワンシーンを思い出し、たちまち眉間に深い皺が寄せられる。

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