配る相手によって内容は変わる|記念誌は誰に届ける冊子なのか

記念誌の制作を始める時、「何ページで、どんなデザインで」という形式の話より先に決めておくべきことがあります。それは「誰に届ける冊子なのか」という配布対象の確認です。
配布対象によって、掲載すべき内容、読んでもらいたい情報、ページの優先順位が変わります。この確認を後回しにすると、完成した後に「この内容ではあの相手には伝わらない」という状況が起きることがあります。
配布対象ごとの関心の違い
記念誌の配布対象として想定されやすいのは、社員・スタッフなどの内部関係者、OB・OG・卒業生などの元関係者、取引先・顧客などの外部関係者という3つのグループです。それぞれが記念誌に求める情報は異なります。
社員や現スタッフにとっての記念誌は、自分が属する組織の歴史を知る機会でもあります。「入社する前はこんな時代だった」「この出来事が今の会社の方向性を決めた」という、組織の内側の話に関心が向きやすいものです。創業の経緯、節目となった出来事、組織の変遷といった内容が、内部関係者には響きやすいものです。
OBやOGにとっての記念誌は、自分が在籍していた時代の記録を見返す機会です。「あの頃の仲間が載っている」「自分が関わったプロジェクトが記録されている」という、個人の記憶と重なる部分への関心が高くなります。写真や人物に関する情報が、OBには特に注目されやすいものです。
取引先や顧客にとっての記念誌は、その組織の実績や信頼性を知る資料でもあります。「これだけの歴史を持つ会社と取引している」という安心感や、組織の成長の軌跡に関心が向きます。事業の成長や社会への貢献、顧客との関係性を示す内容が、外部関係者には伝わりやすいものです。
配布対象が複数いる場合の考え方
多くの記念誌は、複数の対象に配布されます。社員にもOBにも取引先にも同じ冊子を渡すという場合、どのような構成が適切でしょうか。
すべての対象に同じ内容で届けるのが一般的ですが、コンテンツの優先順位を工夫することで、それぞれの関心に対応しやすくなります。
外部関係者も受け取ることを想定するなら、内部の事情が前提となる用語や略称を使わないという配慮が必要です。「当時の〇〇プロジェクト」という表現が社員には通じても、取引先には何のことか分からないことがあります。
逆に、OBや社員を主な対象とする場合は、内部の人間が懐かしく思えるような詳細な記録を充実させることが、読んでもらえる記念誌につながります。
配布対象別に冊子を分ける選択肢
配布対象の幅が広い場合や、それぞれの関心が大きく異なる場合には、対象ごとに内容を変えた冊子を作るという選択肢もあります。
例えば、社員・OB向けと取引先・顧客向けで、基本的な構成は共通にしながら、一部のページの内容を変える方法があります。社員・OB向けには当時の写真や人物の記録を充実させ、取引先向けには事業の実績と社会貢献の内容を前面に出す構成にすることで、それぞれの関心に合った冊子になります。
ただし、複数バージョンを作ることは、制作の手間とコストが増加します。「1種類の冊子で多くの対象をカバーする」か、「対象ごとに最適化した冊子を作る」かは、予算とスケジュールを踏まえた判断が必要です。

「誰に届けるか」を最初に決める理由
記念誌の制作を始める前に配布対象を明確にしておくことが、制作全体に影響します。
掲載する情報の取捨選択に、判断基準が生まれます。「この情報はOBには重要だが取引先には不要」「この写真は社員向けには良いが外部には使いにくい」という判断が、配布対象が明確になることで進めやすくなります。
ページ構成の優先順位も決まります。取引先への配布を重視するなら、事業の実績や沿革を前半に置くことが適切です。OBへの配布を重視するなら、当時の写真や人物記録を充実させたページを目立つ位置に配置することが適切です。
配布対象が明確になれば、印刷部数の目安も立てやすくなります。社員100名、OB50名、取引先200社という内訳が分かれば、合計の部数と、配布のタイミングや方法を計画できます。
冊子印刷ドットコムでは、記念誌の構成や配布対象に応じた仕様についてのご相談に対応しています。「複数の対象に配布する記念誌をどう設計すればよいか」という段階からご相談いただけます。
記念誌の配布対象と編集方針|要点まとめ
記念誌制作で最初に決めるべきことは「誰に届ける冊子か」という配布対象の確認です。配布対象によって、掲載内容の優先順位と編集方針が変わります。
配布対象ごとの関心の違いとして、社員・現スタッフは組織の内側の歴史、OB・OGは自分が在籍した時代の記録と人物情報、取引先・顧客は事業の実績と信頼性の根拠に関心が向きやすいものです。
複数の対象に同じ冊子を届ける場合は、内部用語を使わない配慮と、各対象の関心を意識したページ優先順位の設計が有効です。
配布対象の幅が広い場合は、対象ごとに一部内容を変えたバージョンを作るという選択肢もありますが、制作の手間とコスト増加を踏まえた判断が必要です。
配布対象が明確になると、情報の取捨選択・ページ構成の優先順位・印刷部数の計画という制作全体の判断に根拠が生まれます。
















