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毎号同じなのに手間が減らない学会誌|定期刊行物ならではの制作課題

202606 6-1

「前号と同じ作業をするだけだから、今回は楽にできるはず」。学会誌の制作担当者が最初はそう思っていても、気づけば前号と変わらない手間がかかっていた、という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

年2回・年4回と定期的に発行される学会誌は、毎号同じフォーマットで作られます。テンプレートがあり、前号のデータがある。それでもなぜ、制作のたびに手間が減らないのでしょうか。

今回は、定期刊行物としての学会誌制作で見落とされやすい課題を整理します。

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「前号と同じ」が通用しない理由



前号のデータを流用すれば早く仕上がると思いがちですが、実際には毎号確認が必要な変更事項があります。

巻号・発行年月は当然変わります。「第〇巻第〇号」「〇〇年〇月発行」という表記が冊子内に複数箇所あることがあります。表紙・奥付・柱(各ページ上部や下部の号数表示)。これらを漏れなく更新しないと、古い号数のまま印刷されてしまいます。前号データを開いた時に目につきやすい表紙は更新しても、柱や奥付を更新し忘れるというミスが実務では起きやすいものです。

役員・編集委員の情報も変わります。学会誌の奥付や編集後記には、役員名・編集委員名が掲載されていることが多いものです。毎号ではなくても、年度替わりや総会後に変更が生じます。「前号と同じでいいだろう」と思って確認を省略すると、退任した役員の名前が掲載され続けることがあります。

投稿規程・編集規程の内容が変更になっていることがあります。規程の改定は頻繁ではありませんが、年度ごとに見直しが行われる学会もあります。改定があったにもかかわらず古い規程を掲載し続けると、著者への案内と実際の規程が一致しない状態になります。

毎号発生する確認作業の実態



「定型作業」に見える学会誌の制作でも、毎号必ず発生する確認作業があります。

論文ごとの受付日・採択日の確認があります。学術論文には「受付日」と「採択日」が掲載されることが一般的です。これらは論文ごとに異なり、毎号新しい情報として入力する必要があります。前号の日付が残ったまま入稿されることが実際に起きており、印刷後に著者から指摘を受けるケースがあります。

ページ番号の管理も毎号の作業です。学会誌では、号をまたいだ通しページ番号を使うことがあります。前号の最終ページが何ページだったかを確認し、今号の開始ページを正しく設定する必要があります。通しページ番号がずれると、引用文献として参照する際に支障が生じます。

目次と本文のページ番号の照合も欠かせません。目次に記載されたページ番号と、実際の本文ページが一致しているかを確認する作業です。レイアウトの調整でページがずれることがあるため、毎号最終確認が必要です。

担当者が変わる時に起きる問題



定期刊行物の制作で特に問題になりやすいのが、担当者の交代です。

学会の事務局は、役員交代や担当者の異動によって定期的に変わります。前任者から引き継いだ担当者が、「前号と同じように作れば良い」という認識で進めると、前任者だけが把握していたポイントが引き継がれないことがあります。

どの印刷会社に発注しているか、データのどこにテンプレートがあるか、特殊な設定や注意事項が何かある作業はないか。こうした情報が文書化されていない場合、担当者が変わるたびに同じ確認作業を一から始めることになります。

引き継ぎ資料として「制作マニュアル」を作っておくことが、担当者交代のリスクを下げる最善の方法です。毎号の作業手順・確認チェックリスト・印刷会社との取り決め・過去に起きたトラブルの記録。これらを1冊のドキュメントにまとめておくことで、次の担当者がスムーズに引き継ぎできます。

前号データ流用の落とし穴



前号のデータを流用する際に起きやすい具体的なミスを整理しておきます。

フォントや画像のリンクが切れるケースがあります。前号制作に使ったパソコンと異なる環境でデータを開いた場合、フォントがない・画像リンクが切れているという状態になることがあります。見た目は問題なく見えても、印刷データとして出力した時に文字化けや画像の欠落が生じることがあります。

カラーモードの設定が引き継がれないことがあります。前号はCMYKで作成したデータを、別のソフトや設定で開いて編集するとRGBに変換されていることがあります。モノクロ印刷の学会誌では影響が出にくいですが、カラーを使用している場合は注意が必要です。

前号の「修正前データ」を流用してしまうケースもあります。前号の制作過程で複数のバージョンのデータが存在する場合、最終版ではなく途中版を流用してしまうことがあります。ファイル名の管理を徹底し、最終入稿データを明確に区別しておくことが重要です。

202606 6-2

手間を減らすための仕組みづくり



手間が完全になくなることはありませんが、仕組みを整えることで毎号の作業を効率化できます。

チェックリストの整備が最も効果的です。毎号必ず確認する項目を一覧にまとめ、確認のたびにチェックする運用にします。巻号・発行年月の更新、役員情報の確認、受付日・採択日の入力、ページ番号の照合、目次との整合性確認、奥付の更新。これらをリスト化しておくことで、確認漏れを防ぎやすくなります。

テンプレートを「完全な状態」で管理します。前号の完成データをそのままテンプレートにすると、前号固有の情報が残ったまま次号の制作が始まります。号ごとに変わる情報(巻号・日付・論文タイトル・著者名など)を空欄にした「ベースデータ」として管理しておくことで、更新漏れのリスクが下がります。

印刷会社との仕様を固定しておくことも有効です。毎号同じ仕様(用紙・製本方法・部数)で印刷するなら、その仕様を書面で確認し合っておくことで、発注のたびに仕様を確認し直す手間が省けます。冊子印刷ドットコムでは、定期的に発行する冊子の仕様を記録しておくことで、毎回の確認作業を効率化できます。

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定期刊行物としての学会誌制作|要点まとめ


定期刊行物としての学会誌で手間が減らない理由は、フォーマットは同じでも毎号変わる情報があり、前号データの流用には確認が必要な落とし穴があるからです。

毎号確認が必要な変更事項は、巻号・発行年月の全箇所更新、役員・編集委員情報の確認、投稿規程・編集規程の改定有無です。「前号と同じ」という思い込みが、更新漏れの原因になります。

毎号発生する確認作業として、論文ごとの受付日・採択日の入力、通しページ番号の管理、目次と本文のページ番号の照合があります。定型作業に見えますが、毎号省略できない確認です。

担当者交代のリスクには、制作マニュアルの整備が最善の対処です。作業手順・チェックリスト・印刷会社との取り決め・過去のトラブル記録を文書化しておくことで、引き継ぎのたびに一から確認する手間を防げます。

手間を減らす仕組みとして、毎号のチェックリスト整備、号ごとに変わる情報を空欄にしたベースデータの管理、印刷会社との仕様の固定が有効です。完全になくすことはできませんが、仕組みを整えることで毎号の作業負担を一定に抑えられます。

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