冊子印刷の基本知識|解像度・サイズ・フォントの考え方

冊子を初めて印刷する時、「解像度って何?」「フォントの埋め込みって必要?」と疑問を持つ方は少なくありません。印刷会社の入稿ガイドラインを読んでも、専門用語が多くて何を意識すればいいのか分かりにくいものです。
ただ、印刷の基本知識は一度理解してしまえば、どの案件にも応用できます。複雑に見えて、実際に押さえるべきポイントは多くありません。
今回は、冊子印刷を依頼する前に知っておくべき基礎知識を、解像度・サイズ・フォントの3つのテーマに絞って整理します。難しい専門知識ではなく、「なぜそうなのか」という理由とセットで理解することを目的にしています。
解像度とは何か、なぜ印刷に影響するのか
解像度とは、画像の精細さを表す数値のことです。単位は「dpi(ドット・パー・インチ)」で、1インチの中にどれだけの点(ドット)が含まれるかを示します。数値が大きいほど、細かく精細な画像になります。
なぜ印刷では解像度が重要なのでしょうか。パソコンやスマートフォンの画面は72〜96dpiで表示されています。この数値でも画面上ではきれいに見えますが、印刷では細かい点を物理的に紙に打ち出すため、より高い精細さが必要になります。印刷用データの目安は350dpi以上です。
画面では問題なく見える写真でも、解像度が低いと印刷で粗くぼやけた仕上がりになります。ウェブサイトからダウンロードした画像や、SNSに投稿された写真は多くが72〜96dpiのため、そのまま印刷データに使うと粗くなりやすいものです。
重要なのは、解像度は後から上げられないという点です。72dpiの画像をソフトウェアで350dpiに変換しても、実際の情報量は変わらないため、印刷品質は改善されません。解像度の高い状態で画像を用意しておくことが、唯一の対策です。
デジタルカメラやスマートフォンで「高画質設定」で撮影した元データは、印刷に使えるだけの解像度を持っていることが多いです。写真を縮小・加工する場合は、元データを保持しておくことをおすすめします。
用紙サイズの基本と、データサイズの設定
冊子のサイズは、用途によって選ぶのが基本です。一般的によく使われるのはA判とB判のサイズです。
A4(210×297mm)は、コピー用紙と同じサイズです。会社案内、報告書、議案書など、文書としての見栄えが求められる冊子に向いています。情報量が多く、文字を読ませる冊子に適したサイズです。
A5(148×210mm)は、A4の半分のサイズです。修学旅行のしおり、研修テキスト、ハンドブックなど、持ち運んで使う冊子に向いています。ポケットや鞄に入りやすく、現場で参照する冊子として定番です。
B5(182×257mm)は、A4とA5の中間くらいのサイズです。テキスト教材や同人誌などでよく使われます。
サイズを決めたら、データもそのサイズで作成します。ここで注意が必要なのが、塗り足しです。背景に色や画像がある場合、仕上がりサイズより各辺3mm大きくデータを作る必要があります。A4なら216×303mm、A5なら154×216mmがデータサイズの基準です。
なぜ3mm大きくするのかというと、印刷後に紙を断裁する際にわずかなずれが生じるからです。ぴったりのサイズで作ると、ずれによって端に白い余白が残ることがあります。塗り足しを設けることで、このリスクを防げます。
サイズに関してもうひとつ重要なのが、セーフゾーンです。仕上がり線の内側3〜5mmには、大切な文字やロゴを配置しないことが基本です。断裁のわずかなずれで、端の文字が欠けるリスクがあるためです。
フォントの扱い方と印刷でのトラブルを防ぐ方法
フォントとは、文字のデザインのことです。印刷において、フォントは「埋め込み」と「アウトライン化」という2つの扱い方が重要になります。
フォントの埋め込みとは、PDFファイルの中にフォント情報を含めることです。フォントが埋め込まれていないPDFは、受け取った印刷会社のパソコンに同じフォントがない場合、別の書体に置き換わって表示されることがあります。せっかく整えたレイアウトが崩れる原因になります。
PDF書き出し時に「フォントを埋め込む」という設定を有効にすることで防げます。多くのソフトでは、印刷品質や高品質でPDFを書き出す設定にすれば、自動でフォントが埋め込まれます。
アウトライン化とは、文字データを図形データに変換することです。アウトライン化した文字は、フォント情報に依存しないため、どの環境でも同じ見た目で表示されます。IllustratorやInDesignを使っている場合は、入稿前にアウトライン化することが一般的な対処法です。
注意点として、アウトライン化すると文字の修正ができなくなります。アウトライン化する前に、必ず元データを保存しておくことが重要です。
フォント選びに関しても実務上のポイントがあります。無料でダウンロードしたフォントや、ライセンスが不明なフォントは使用を避けた方が安全です。印刷データとして使用できる権利があるかを確認した上で使うことをおすすめします。

3つの知識をつなげて考える
解像度・サイズ・フォント。この3つは別々の知識ではなく、データを作る段階でまとめて意識するものです。
データを作り始める前に、仕上がりサイズを決めてドキュメントを設定する。使う写真の解像度が350dpi以上かを確認する。使用するフォントの埋め込みまたはアウトライン化を入稿前に行う。この3ステップを意識するだけで、入稿トラブルの大半を防ぐことができます。
WordやPowerPointで作成する場合、塗り足しの設定やフォント埋め込みが難しいことがあります。そのような場合は、印刷会社に事前に相談することをおすすめします。冊子印刷ドットコムでは、入稿データについての事前確認にも対応しています。「このデータで問題ないか見てほしい」という相談も歓迎しています。
一度基本を理解すれば、次回以降の冊子制作がスムーズになります。最初の一冊で学んだことが、その後の制作に活かされていきます。
印刷の基本知識|要点まとめ
冊子印刷に必要な基本知識とは、解像度・サイズ・フォントの3点です。この3つを理解しておくことで、入稿トラブルの大半を事前に防ぐことができます。
解像度は印刷品質を決める数値で、印刷には350dpi以上が必要です。画面表示用の72〜96dpiの画像をそのまま使うと印刷で粗くなります。解像度は後から上げられないため、元データを高画質で用意することが唯一の対策です。
用紙サイズは用途で選びます。A4は報告書・議案書など文字中心の冊子、A5は持ち運んで使うしおりや研修テキストに向いています。データは塗り足し分として各辺3mm大きく設定し、重要な文字は仕上がり線から3〜5mm内側のセーフゾーンに配置します。
フォントは埋め込みまたはアウトライン化が必要です。未埋め込みのまま入稿すると文字が別の書体に置き換わることがあります。PDF書き出し時のフォント埋め込み設定、またはアウトライン化(修正不可になるため元データを保存)で対応します。
この3点をデータ作成の段階から意識することで、入稿後のやり直しや修正の手間を大幅に減らすことができます。
















