冊子印刷の相談で「これは助かる」と感じる依頼内容|印刷会社目線で見る、スムーズに進む案件の特徴

毎日たくさんのお問い合わせをいただく中で、「この依頼はスムーズに進みそうだ」と感じる瞬間があります。完璧な準備ができているということではありません。むしろ、分からないことだらけでも、ある特徴を持った依頼は、驚くほどスムーズに完成まで辿り着くのです。
長年この仕事をしていて気づいたことがあります。スムーズに進む案件には、いくつかの共通点があるということです。それは特別な知識やスキルではなく、コミュニケーションの取り方や情報の伝え方といった、誰でもできることばかりです。今回は、印刷会社目線で見た「これは助かる」と感じる依頼の特徴をお伝えします。良い依頼の仕方を知ることで、お互いにストレスなく、質の高い冊子づくりができます。
「分からない」を正直に伝えてくれる
なぜ「分からない」という言葉が、助かるのでしょうか。
知ったかぶりをされるより、ずっと進めやすいからです。「上質紙とコート紙の違いが分からない」と正直に言っていただければ、丁寧に説明します。でも、分からないまま「上質紙で」と決めてしまうと、後で「イメージと違った」となりかねません。
「初めてなので、何も分かりません」という前置きも大歓迎です。この一言があるだけで、私たちは基本から丁寧に説明できます。逆に、分からないのに分かっているフリをされると、説明が不十分になり、後で齟齬が生まれます。
質問のハードルを下げてくれることも助かります。「こんなこと聞いていいのか分からないけど」と前置きして質問される方がいます。そのような遠慮は不要です。どんな質問も、私たちにとっては「理解してもらうチャンス」なのです。
以前、ある企業の担当者様が「印刷のことは全く分からないので、一から教えてください」とおっしゃいました。その正直さが、逆にスムーズな進行を生みました。一つ一つ確認しながら進めたため、誤解が生まれず、一発で希望通りの冊子が完成しました。
分からないことを隠さず伝えることが、最高のスタートです。
参考資料を見せてくれる
言葉より、なぜ「見本」が助かるのでしょうか。
イメージの共有が圧倒的に早くなるからです。「こんな感じの冊子を作りたい」と既存の冊子を見せていただくと、仕様が一目で分かります。紙の厚み、製本方法、色の使い方。言葉で説明するより、100倍正確に伝わります。
「このページのレイアウトが好きです」と具体的に示してくれると、さらに助かります。冊子全体を真似するのではなく、気に入った部分だけを取り入れることができます。「この写真の配置」「この見出しのデザイン」と具体的に伝えていただければ、それを元に提案できます。
競合他社の冊子を見せることに、遠慮は不要です。「他社のこの冊子が良いと思うんですが」と見せていただくことは、よくあります。それを元に、さらに良いものを作る提案ができるのです。むしろ、目指す方向性が明確になるため、大変助かります。
ある学校の担当者様が、他の学校の入学案内を5冊ほど持ってきてくださいました。「この学校のシンプルさと、この学校の写真の使い方を組み合わせたい」と具体的に伝えていただき、イメージのすり合わせが一瞬で終わりました。
言葉より実物。これが、スムーズな進行の鉄則です。
優先順位を明確にしてくれる
なぜ「何を優先するか」を先に決めると、進めやすいのでしょうか。
提案の方向性が定まるからです。「納期」「品質」「予算」のうち、何を最優先するかを最初に教えていただければ、迷わず提案できます。すべてを満たす完璧な答えはありませんが、優先順位が分かれば、最適なバランスを見つけられます。
「ここだけは譲れない」というポイントを伝えてくれることも助かります。「表紙の質感だけは妥協したくない」「ページ数は絶対に16ページ」。そう言っていただければ、その部分を守りながら、他で調整する提案ができます。
逆に「どこでも調整できる」という柔軟性も助かります。「ページ数も用紙も、プロにお任せします」と言われると、こちらも最適なバランスを考えやすくなります。ただし、その場合も「こういう理由でこの仕様を提案します」と説明しますので、納得いかなければ遠慮なく言ってください。
以前、ある企業様が「予算は絶対に守りたい。でも安っぽく見えるのは避けたい」と明確に伝えてくださいました。予算内で表紙だけ良い紙を使い、本文はシンプルにする提案をしたところ、「まさに求めていたものです」と喜んでいただけました。
優先順位の共有が、最短距離での成功を生みます。
レスポンスが早い
なぜ返信の速さが、品質に影響するのでしょうか。
待ち時間が減ることで、全体のスケジュールに余裕が生まれるからです。校正のPDFをお送りして、当日中に確認いただけると、翌日には次の工程に進めます。でも、3日後に返信が来ると、その3日分、納期が後ろにずれます。
「確認に時間がかかりそうなら、一言教えてください」というのも助かります。「週末に社内で確認するので、月曜に連絡します」と事前に分かっていれば、こちらも他のスケジュールを調整できます。連絡がないまま数日経つと、進めていいのか止めるべきか、判断に困ります。
疑問点をためずに、すぐ聞いてくれることも助かります。「これはどういう意味ですか」とその場で質問していただければ、すぐに回答できます。分からないまま進めて、後で「実は理解していなかった」となると、大きな手戻りになります。
ある自治体の担当者様は、メールを送ると必ず2時間以内に返信してくださいました。「すぐに答えられないことは、いつまでに回答できるか」を教えてくださるため、スケジュールが立てやすく、結果的に予定より早く完成しました。
レスポンスの早さは、信頼関係の証です。

修正指示が具体的
どんな修正指示が、作業しやすいのでしょうか。
「3ページ目の見出し、もう少し大きく」より、「3ページ目の見出し、14ポイントを16ポイントに」の方が、確実に希望通りになります。具体的な数値や位置を示していただけると、解釈の余地がなくなります。
「全体的にもっと」という曖昧な指示より、「この部分だけ」という限定的な指示の方が助かります。「全体的に文字を大きく」と言われると、どこまで大きくすればいいか分からず、何度もやり取りが必要になります。
修正理由を教えてくれることも助かります。「この写真を差し替えたい。なぜなら、実際の製品と色が違うから」と理由を添えていただくと、同じ問題が他にもないか確認できます。理由なしで「差し替えて」だけだと、表面的な対応になります。
「これでOKです」「ここだけ修正してください」と明確に伝えてくれることも重要です。「たぶん大丈夫だと思います」という曖昧な返事だと、本当に進めていいのか不安になります。
ある会社の担当者様は、PDFに赤字で修正箇所を書き込み、具体的な指示を添えて送ってくださいました。「5ページ目、上から3行目の『株式会社』を削除」と明確だったため、1回の修正で完璧に仕上がりました。
具体性が、無駄なやり取りを減らします。
「お任せします」と「こだわります」のバランス
どこまで任せて、どこでこだわればよいのでしょうか。
専門的な部分は任せ、内容や想いの部分はこだわる。このバランスが理想的です。「用紙の種類はプロに任せます。でも、この写真だけは絶対に使いたい」というメリハリが、良い冊子を生みます。
「すべてお任せ」も「すべて自分で決めたい」も、実は進めにくいものです。すべて任されると、方向性が見えず、何度も確認が必要になります。すべて自分で決めたいとなると、専門知識がないと判断に迷い、時間がかかります。
「ここは譲れない、ここは任せる」と明確に線引きしてくれることが、最も助かります。そうすれば、任された部分は私たちの経験を活かし、こだわる部分はお客様の想いを最大限実現する、という役割分担ができます。
冊子印刷ドットコムでは、「分からないことは教えてください、こだわりたいことは聞かせてください」というスタンスです。二人三脚で、最高の一冊を作りたいと思っています。
スムーズに進む依頼の特徴は、分からないを隠さない、参考資料を見せる、優先順位を明確にする、レスポンスが早い、修正指示が具体的、という5つです。これらは特別なことではなく、コミュニケーションの取り方です。お互いが気持ちよく仕事をすることで、より良い冊子が生まれます。
スムーズに進む依頼の特徴|要点まとめ
「分からない」を正直に伝えることが助かる理由は、知ったかぶりより進めやすく丁寧に説明でき、「初めてなので何も分かりません」という前置きで基本から説明でき、「こんなこと聞いていいのか」という質問も理解してもらうチャンスだからです。「一から教えてください」という正直さで一つ一つ確認しながら進め、誤解が生まれず一発で希望通りになった事例があります。
参考資料を見せることが助かる理由は、言葉より実物でイメージ共有が圧倒的に早く紙の厚みや製本方法が一目で分かり、「このページのレイアウトが好き」と具体的に示せば気に入った部分だけ取り入れでき、競合他社の冊子を見せることで目指す方向性が明確になるからです。他校の入学案内を5冊持参して「このシンプルさとこの写真の使い方を組み合わせたい」と伝えイメージすり合わせが一瞬で終わった事例があります。
優先順位を明確にすることが助かる理由は、「納期」「品質」「予算」の優先順位で提案の方向性が定まり、「表紙の質感だけは譲れない」「ページ数は絶対に16ページ」とポイントを伝えればその部分を守りながら他で調整でき、「どこでも調整できる」という柔軟性も最適なバランスを考えやすいからです。「予算は絶対、でも安っぽくは避けたい」で表紙だけ良い紙を使う提案が成功した事例があります。
レスポンスが早いことが品質に影響する理由は、待ち時間が減り全体スケジュールに余裕が生まれ、「週末に社内確認するので月曜連絡」と事前に分かれば他のスケジュール調整でき、疑問点をすぐ聞けば即回答できて大きな手戻りを防げるからです。メールを2時間以内に返信し「いつまでに回答できるか」を教えてくれた自治体で予定より早く完成した事例があります。
修正指示が具体的なことが助かる理由は、「もう少し大きく」より「14ポイントを16ポイントに」の方が確実で、「全体的に」より「この部分だけ」の方が明確で、修正理由を添えると同じ問題が他にもないか確認でき、「これでOK」「ここだけ修正」と明確に伝えることが重要だからです。PDFに赤字で具体的な修正指示を書き込み1回の修正で完璧に仕上がった事例があります。
「お任せ」と「こだわり」のバランスは、専門的な部分は任せて内容や想いの部分はこだわるのが理想的で、「すべてお任せ」も「すべて自分で決めたい」も進めにくく、「ここは譲れない、ここは任せる」と明確に線引きすることが最も助かります。冊子印刷ドットコムは「分からないことは教えて、こだわりたいことは聞かせて」というスタンスで二人三脚で最高の一冊を作ります。
















