冊子印刷を急ぐとき、やっていいこと・やってはいけないこと|短納期案件を何百件も見てきた印刷会社の本音

「来週のイベントまでに間に合わせたい」「内容が確定したのが今日で、3日後には必要」。短納期の相談は、日常的にいただきます。長年この仕事をしてきて、短納期案件は何百件と経験してきました。その中で、スムーズに完成する案件と、トラブルになる案件には、明確な違いがあることに気づきました。
急いでいる時こそ、冷静な判断が必要です。焦って間違った選択をすると、かえって時間がかかったり、仕上がりに後悔したりします。今回は、短納期案件を数多く見てきた経験から、「急ぐ時にやっていいこと」と「やってはいけないこと」を本音でお伝えします。これを知っているだけで、成功率は大きく変わります。
やっていいこと|仕様をシンプルにする
急ぐ時、どこまで仕様を簡素化してよいのでしょうか。
製本方法は中綴じを選んで問題ありません。無線綴じより製本時間が短く、納期短縮に有効です。「やはり無線綴じにすべきだった」と後悔するかと心配されるかもしれませんが、40ページ以下の冊子なら、中綴じで十分な品質が得られます。
用紙も定番のものを選ぶことをおすすめします。在庫のある上質紙やコート紙なら、すぐに印刷に入れます。特殊な紙は取り寄せに時間がかかり、短納期の妨げになります。「こだわりたい」気持ちは分かりますが、急ぐ時は標準的な選択が正解です。
ページ数も調整可能なら減らしましょう。16ページの予定を12ページにする。この4ページの差が、納期を1日短縮できることもあります。本当に必要な情報に絞ることで、かえって読みやすい冊子になることもあります。
以前、ある企業様が「3日で32ページの冊子を」とご相談されました。正直にお伝えしました。「3日なら、16ページが限界です」と。内容を精査していただき、16ページに凝縮したところ、「情報が整理されて、むしろ良くなった」と言っていただけました。
急ぐ時こそ、シンプルが最強です。
やっていいこと|段階的に入稿する
データが全部揃っていなくても、進められるのでしょうか。
表紙だけ先に入稿する方法があります。表紙のデザインが決まっているなら、それだけ先に印刷を開始できます。本文データは後から入稿しても、並行して作業を進められるため、トータルの時間を短縮できます。
確定したページから順次入稿することも可能です。16ページの冊子で、1-4ページが確定しているなら、それを先に送ってください。残りのページが揃うのを待つ間に、先行部分の印刷を進められます。
校正を1回で済ませる覚悟も必要です。通常は初稿、再校、念校と複数回確認しますが、短納期では1回の校正で決断します。「後で修正」はできないという前提で、慎重に確認してください。
ある自治体様の報告書で、データ確定が遅れた案件がありました。「表紙と目次だけでも先に入稿できませんか」と提案したところ、それを実行していただき、本文データが揃った時点で合流させました。結果、納期を2日短縮できました。
段階的な入稿は、短納期の強い味方です。遠慮なくご相談ください。
・やってはいけないこと|校正を急ぎすぎる
急いでいても、ここだけは手を抜いてはいけません。
数分で校正を返すのは危険です。PDFを受け取って、ざっと見ただけで「OKです」と返信される方がいます。でも、誤字脱字、ページ順の間違い、画像の配置ミスなど、細かく見ないと気づかないことがあります。最低でも30分、できれば1時間は確認時間を取ってください。
複数人でチェックする時間を省くのもリスクです。「自分一人で確認すれば早い」と思われるかもしれませんが、見落としは必ず発生します。できれば2人、少なくとも自分で2回見ることをおすすめします。
印刷してから修正はできません。「とりあえず印刷して、間違いがあれば刷り直そう」という考えは、短納期では命取りです。刷り直す時間はありません。校正段階で完璧にすることが、短納期成功の鍵です。
以前、急ぎの案件で、お客様が5分で校正OKを出されたことがありました。印刷後、連絡先の電話番号が間違っていることが判明しました。刷り直す時間がなく、手書きで訂正シールを貼る対応になりました。あの時、「もう少し時間をかけて確認してください」と強くお伝えすべきだったと反省しています。
急ぐ時こそ、校正は丁寧に。これは絶対のルールです。
やってはいけないこと|情報を後出しする
後から条件が変わると、何が起きるのでしょうか。
「実は明日までに必要でした」という後出しが最も困ります。最初に「3日後」と聞いていたのに、途中で「やっぱり明日」と言われても、物理的に不可能なことがあります。最初から正確な納期を教えていただければ、別の提案ができたかもしれません。
部数の変更も避けてほしいポイントです。「100部で見積もりを取ったけど、やっぱり200部」。部数が変わると、印刷方法も変わることがあります。短納期の場合、変更対応が難しく、最初の見積もりで確定していただく必要があります。
仕様変更も時間のロスになります。「中綴じで進めていたけど、無線綴じに変更したい」。製本方法が変わると、スケジュールが大幅に変わります。急ぐ時は、最初に決めた仕様を守ることが大切です。
ある会社様が「3日で100部」とご依頼され、製本まで進んだ段階で「やっぱり300部に増やせますか」と言われました。印刷は完了していたため、追加印刷は別途日数がかかりました。最初から300部とお伝えいただければ、一度に印刷できたのです。
後出し情報は、短納期の大敵です。最初から正確に伝えてください。
やってはいけないこと|無理な要求を重ねる
どこまでが可能で、どこからが無理なのでしょうか。
「明日までに」と言われても、データ入稿が今日の夕方では物理的に無理です。印刷、製本、乾燥、梱包には、それぞれ時間がかかります。どんなに急いでも、最低限の時間は必要です。私たちは、できないことは「できない」と正直にお伝えします。
「短納期で、でも安く」という要求も難しいものです。短納期対応には、通常より多くの人員を投入したり、他の案件を調整したりする必要があります。急ぎの場合は、それなりのコストがかかることをご理解ください。
「特殊な仕様で、なおかつ急ぎ」も厳しい組み合わせです。変形サイズ、特殊な製本、珍しい用紙。これらは時間がかかります。短納期を優先するなら、標準的な仕様を選ぶ必要があります。
正直に申し上げて、無理な要求を重ねられると、お受けできないことがあります。「できる範囲で最善を尽くす」という姿勢で、一緒に現実的なプランを考えさせてください。

短納期を成功させるコツ
急ぎの案件を、どうすればスムーズに進められるでしょうか。
最初の相談を早めにすることです。「3日後に必要」と分かった時点で、すぐにご連絡ください。「データができてから」と待つのではなく、「まだデータはないけど、3日後に必要です」と教えていただければ、準備を始められます。
正直にスケジュールを共有してください。「本当は明日欲しいけど、無理なら3日後でも」という場合、その優先順位を教えていただければ、最適なプランを提案できます。嘘をつく必要はありません。
できることとできないことを、一緒に整理しましょう。「ページ数は減らせる」「でも用紙だけはこだわりたい」など、妥協点を見つけることが、短納期成功の鍵です。
冊子印刷ドットコムでは、短納期案件の経験が豊富です。「こんな急ぎで申し訳ない」と思わず、まずはご相談ください。できる範囲で、最善を尽くします。ただし、物理的に不可能なことは不可能とお伝えします。それが、お互いのためです。
短納期案件は、やっていいことを積極的に活用し、やってはいけないことを避けることで、成功率が大きく上がります。急ぐ時こそ、冷静な判断と正直なコミュニケーションを大切にしましょう。
短納期対応のポイント|要点まとめ
やっていいこととして、製本方法は中綴じを選んで無線綴じより時間短縮し、用紙は在庫のある上質紙やコート紙で特殊な紙の取り寄せ時間を避け、ページ数も調整可能なら減らして納期短縮し、表紙だけ先に入稿や確定ページから順次入稿する段階的な方法も有効です。32ページを16ページに凝縮して情報が整理された事例、表紙と目次を先行入稿して2日短縮した事例があります。
やってはいけないこととして、数分での校正返答は誤字脱字やページ順ミスに気づかず最低30分できれば1時間の確認時間が必要、複数人チェックや自分で2回見ることが見落とし防止になり、印刷後の修正は短納期では不可能なため校正段階で完璧にすることが鍵です。5分で校正OKを出して電話番号間違いが判明し手書き訂正シールで対応した反省事例があります。
情報の後出しは短納期の大敵で、「実は明日まで」という納期変更や途中での部数変更は印刷方法が変わる可能性があり、中綴じから無線綴じへの仕様変更はスケジュールが大幅に変わります。100部で進めて製本段階で300部に増やす要望があり追加印刷に別途日数がかかった事例があります。
無理な要求として、データ入稿が夕方で明日納品は物理的に無理で印刷・製本・乾燥・梱包に最低限の時間が必要、「短納期で安く」は通常より多くの人員投入が必要でコストがかかり、特殊な仕様と急ぎの組み合わせは厳しく短納期なら標準仕様を選ぶ必要があります。できないことは正直に伝えます。
短納期を成功させるコツは、3日後に必要と分かった時点で即連絡しデータがなくても準備を始められること、本当は明日欲しいけど無理なら3日後という優先順位を正直に共有すること、ページ数は減らせるが用紙はこだわりたいなど妥協点を一緒に整理することです。冊子印刷ドットコムは短納期経験が豊富で、できる範囲で最善を尽くしますが物理的に不可能なことは正直に伝えます。
















