中綴じに向く紙・向かない紙|紙厚・仕上がり・用途別の正しい選び方

冊子制作で見落とされがちなのが、用紙選択の重要性です。同じデザイン、同じページ数でも、用紙が変われば仕上がりの印象も使い心地も大きく変わります。特に中綴じは、針金で中央を留めるという構造上、用紙の厚みや質感が製本の成否を左右します。
薄すぎる紙は裏移りが発生し、厚すぎる紙は針金の強度が不足します。中綴じならではの「平らに開く」という特性も、用紙によって変わってきます。どのような紙が中綴じに適しているのか、逆に避けるべき紙は何か。今回は紙厚、仕上がり、用途という3つの視点から、中綿じに最適な用紙選択の基準を解説します。
中綴じに適した紙厚の範囲
本文用紙の厚みは、どのくらいが最適でしょうか。
70kgから90kgが中綴じの標準範囲です。この厚みなら、両面印刷しても裏移りが少なく、針金で留める強度も十分です。16ページから24ページの冊子では、この範囲の用紙が最もバランスが良くなります。
薄すぎる紙の問題点は何か。55kg以下の薄い用紙は、裏面の印刷が透けて見えます。特にカラー印刷では、裏側の色が影響して文字が読みにくくなります。また薄い紙は針金の穴から裂けやすく、耐久性に不安が残ります。
厚すぎる紙も中綴じには不向きです。110kg以上の厚手用紙を使うと、折り目が硬くなり、平らに開きにくくなります。32ページ以上の冊子で厚手用紙を使うと、針金が紙を貫通しきれず、製本不良の原因となります。私が担当した冊子で、本文に135kgの用紙を使おうとしたところ、印刷会社から「中綴じでは針金が保たないリスクがある」と指摘されました。
表紙用紙は本文より厚くします。表紙には135kgから180kg程度の厚手用紙が適しています。本文より厚い表紙にすることで、冊子全体の保護性が高まり、持ちやすさも向上します。
ページ数との関係も考慮が必要です。8ページから16ページの薄い冊子なら、本文90kgでも問題ありません。しかし32ページ以上になると、70kg〜80kg程度に抑えることで、針金への負担が軽減されます。
紙質による開きやすさの違い
用紙の種類は、中綴じの特性にどう影響するのでしょうか。
上質紙は中綴じの定番です。適度なコシがあり、折り目がしっかりつくため、開いた時に平らな状態を保ちやすくなります。文字の読みやすさにも優れ、会報や報告書など文章中心の冊子に最適です。
コート紙は写真の発色が美しくなります。製品カタログや観光パンフレットなど、ビジュアル重視の冊子に向いています。ただし光沢があるため、光の反射で文字が読みにくくなることがあります。見開きで使う場合は、配置に注意が必要です。
マット紙は上質紙とコート紙の中間的な特性です。写真の発色は良いものの反射が少なく、文字も読みやすい特性があります。高級感のある仕上がりで、企業のブランディング資料や作品集に適しています。
色上質紙は表紙や扉ページに効果的です。淡い色のついた用紙で、アクセントとして使うことで視覚的な変化が生まれます。ただし本文全体に色上質紙を使うと、読みにくさが増すため注意が必要です。
紙の硬さも開きやすさに影響します。柔らかすぎる紙は折り癖がつきにくく、開いた時にふにゃふにゃした印象になります。適度な硬さがある紙の方が、中綴じの「平らに開く」特性を活かせます。
・用途別の最適な紙選択
冊子の種類によって、どう用紙を選べばよいでしょうか。
イベントパンフレットは上質紙70〜90kgが基本です。配布する部数が多く、コストを抑えたい場合に適しています。文字情報が中心なら、上質紙の読みやすさが活きます。軽量で持ち帰りやすいことも利点です。
製品カタログはコート紙90kgが向いています。製品写真を美しく見せることが優先される場合、コート紙の発色の良さが効果を発揮します。ただし32ページを超える場合は、重さも考慮して紙厚を調整します。
会報や社内報は上質紙70kgでコストを抑えます。月刊や季刊で継続発行する冊子では、印刷コストの管理が重要です。読みやすさを確保しつつ、予算内に収めるバランスが求められます。
作品集や記念誌はマット紙90〜110kgで高級感を演出します。写真作品や美術作品を掲載する冊子では、紙質の良さが作品を引き立てます。ただしページ数が多い場合は、針金の強度を考慮して紙厚を調整します。
レシピ集や作業マニュアルは上質紙90kgが実用的です。テーブルに置いて使うことを考えると、適度な厚みとコシが必要です。折り目がしっかりつく上質紙は、平らに開いた状態を保ちやすくなります。
冊子印刷ドットコムでは、用紙サンプルの確認が可能です。実際の質感を確かめてから用紙を選べるため、失敗のリスクを減らせます。

針金の強度と紙厚の関係
針金が耐えられる紙の厚さには限界があるのでしょうか。
ページ数と紙厚の掛け算が重要です。16ページ×90kg=1,440、32ページ×70kg=2,240というように、総合的な厚みで判断します。この数値が大きくなるほど、針金への負担が増えます。
一般的な目安として、40ページ×90kgが上限です。これを超えると、針金が紙を完全に貫通しない、固定が甘くなるといった問題が起きやすくなります。ページ数が多い場合は、紙を薄くすることで対応します。
針金のサイズは決まっています。中綴じで使われる針金の太さは標準化されており、極端に厚い紙には対応できません。用紙を選ぶ際は、ページ数との関係を考慮することが不可欠です。
折り目への負担も考慮します。厚い紙を折ると、折り目の部分に大きな力がかかります。何度も開閉すると、折り目から裂けるリスクが高まります。頻繁に使用する冊子では、やや薄めの用紙を選ぶ方が安全です。
私が携わった展示会カタログでは、24ページでコート紙110kgを使用したところ、針金部分が甘く仕上がり、配布中にページが外れるトラブルがありました。再印刷では90kgに変更し、問題なく完成しました。
中綴じの用紙選択は、紙厚・紙質・用途の3つの視点で判断します。70〜90kgの標準範囲を基本とし、ページ数や使用目的に応じて調整することで、開きやすく使いやすい冊子を制作できます。用紙の特性を理解し、最適な選択をしてください。
中綴じの用紙選択|要点まとめ
中綴じに適した紙厚は本文用紙70〜90kgが標準範囲で、55kg以下の薄い用紙は裏移りが発生し針金の穴から裂けやすく、110kg以上の厚手用紙は折り目が硬くなり平らに開きにくくなります。表紙には135〜180kg程度が適し、32ページ以上では本文を70〜80kgに抑えることで針金への負担が軽減されます。
紙質による違いとして、上質紙は適度なコシがあり折り目がしっかりつき文章中心の冊子に最適、コート紙は写真の発色が美しいがビジュアル重視の冊子向き、マット紙は写真の発色が良く反射が少なく高級感があり、色上質紙は表紙や扉ページのアクセントに効果的です。
用途別の最適な紙選択は、イベントパンフレットは上質紙70〜90kg、製品カタログはコート紙90kg、会報や社内報は上質紙70kgでコスト重視、作品集や記念誌はマット紙90〜110kgで高級感重視、レシピ集や作業マニュアルは上質紙90kgで実用性重視です。冊子印刷ドットコムでは用紙サンプル確認が可能です。
針金の強度と紙厚の関係は、ページ数と紙厚の掛け算で判断し、40ページ×90kgが上限の目安で、これを超えると針金が紙を完全に貫通しない問題が起きやすくなります。24ページでコート紙110kgを使用した展示会カタログで針金部分が甘く仕上がり、90kgに変更して解決した事例があります。
















