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冬に気をつけたい無線綴じ|背割れしない冊子づくりのポイント

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冬は空気が乾燥し、暖房で室内の湿度がさらに下がる季節です。人の肌が乾燥するように、紙も水分を失って硬くなります。この環境変化は、無線綴じ冊子にとって決して無視できない影響を与えます。

特に注意が必要なのが「背割れ」という現象です。冊子を開いた時に背の部分にひび割れが入り、場合によってはページが外れてしまうこともあります。せっかく制作した冊子が冬場のトラブルで台無しになっては残念です。今回は冬の無線綴じ冊子に起きやすい問題と、背割れを防ぐための具体的な対策を解説します。

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冬の無線綴じに起きやすい「背割れ」とは



背割れとはどのような現象なのでしょうか。

背割れとは、無線綴じ冊子の背の部分に亀裂が入る現象です。冊子を開いた時に「パキッ」という音がして、背に白い線が入ることがあります。これが背割れの初期症状で、放置すると亀裂が深くなり、最終的にはページが外れてしまいます。

どんな冊子で起きやすいか。ページ数が多く背幅のある冊子、厚めの用紙を使った冊子、頻繁に開閉する資料などで発生しやすくなります。私が担当した企業の製品カタログでは、冬場に背割れの相談が増えるという経験をしました。

見た目だけの問題ではありません。背割れが進行すると、ページの接着が弱くなり、冊子としての機能を失います。特に長期保存を前提とした記念誌や報告書では、背割れは致命的な問題となります。

中綴じではどうか。中綴じはホッチキスで綴じているため、背割れという概念がありません。冬の乾燥による影響も受けにくく、この点では無線綴じより有利といえます。ただし中綴じは厚い冊子に対応できないという制約があります。

なぜ冬に背割れが発生しやすいのか



冬の環境は無線綴じにどのような影響を与えるのでしょうか。

最大の原因は「空気の乾燥」です。冬の外気は湿度が低く、さらに暖房を使う室内では湿度が30%以下になることも珍しくありません。紙は空気中の水分を吸収したり放出したりしていますが、乾燥した環境では水分を失い、硬く脆くなります。

紙が硬くなるとどうなるか。柔軟性を失った紙は、冊子を開く動作に対して抵抗します。この時、背の部分に集中して力がかかり、糊と紙の境界面に亀裂が入りやすくなります。特に無線綴じは背の部分が接着の要なので、ここが弱点となるのです。

糊の硬化も要因です。ホットメルト接着剤は温度変化に敏感で、低温環境では硬くなり柔軟性が低下します。硬くなった糊は、冊子を開く動作による曲げの力に耐えられず、ひび割れを起こします。

室内と屋外の温度差も影響します。冬場は暖房の効いた室内と寒い屋外を行き来することが多く、この急激な温度変化が糊にストレスを与えます。配送中の温度管理も重要で、極端な低温にさらされると品質に影響が出ます。

湿度の急変も問題です。暖房を入れた直後や、加湿器を使い始めた時など、湿度が急激に変化すると、紙の伸縮が起こります。この伸縮が繰り返されることで、糊の接着力が徐々に弱まります。

背割れを防ぐ冊子設計のポイント



冬でも背割れしない冊子を作るにはどうすればよいでしょうか。

用紙選びが最初の対策です。柔軟性のある用紙を選ぶことで、開閉時の負担を軽減できます。極端に厚い用紙は避け、本文には90kg前後の適度な厚みの用紙が理想的です。薄すぎても強度が不足するため、バランスが重要です。

背の加工方法も重要です。ミーリング(背削り)を適切に行い、糊の接着面を十分に確保することで、強度が高まります。冊子印刷ドットコムでは、冬場でも安心して使える背加工の品質管理を徹底しています。

ページ数と背幅の関係を考慮します。同じページ数でも、薄い用紙を使えば背幅が狭くなり、開閉時の負担が減ります。100ページの冊子を作る場合、70kgの用紙より90kgの用紙の方が、わずかに背幅が広くなりますが、強度とのバランスで90kgが推奨されます。

表紙の素材選択も効果的です。表紙に柔軟性のある用紙を使うことで、冊子全体の開きやすさが向上します。硬すぎる表紙は、開く際に背に大きな力がかかる原因となります。

レイアウトでの配慮も可能です。ノド(綴じ側)の余白を多めに取ることで、無理に開かなくても内容が読めるようになります。見開きページに重要な情報を配置しない設計も、背への負担を減らします。

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冬場の保管と取り扱いの注意点



完成した冊子を冬に使用する際、どんな配慮が必要でしょうか。

保管環境が最も重要です。できれば湿度40〜60%を保った場所で保管することが理想です。加湿器を使う、濡れタオルを干すなど、簡単な対策でも効果があります。極端に乾燥した場所での長期保管は避けましょう。

温度変化を最小限にすることも大切です。暖房の効いた部屋から寒い倉庫へ、といった急激な移動は避けます。配送する場合も、できるだけ温度管理された環境を選びます。

開き方にも注意が必要です。冬の無線綴じ冊子は、いきなり180度開くと背に負担がかかります。最初は軽く開く程度にとどめ、何度か開閉を繰り返すことで、徐々に糊が馴染んでいきます。

使用前の「慣らし」も効果的です。届いたばかりの冊子は、すぐに使わず、数時間室温に置いてから使用します。急激な温度変化を避けることで、背割れのリスクが減ります。

中綴じとの使い分けも検討しましょう。冬場に頻繁に使用する資料で、ページ数が40ページ以下なら、中綴じを選択することも一つの解決策です。中綴じは平らに開きやすく、背割れの心配がありません。

冬の無線綴じ冊子は、乾燥と低温という環境要因に配慮が必要です。適切な用紙選び、背加工の品質、保管環境の管理により、背割れを防ぎ、長く使える冊子を作ることができます。季節に応じた冊子づくりで、品質の高い印刷物を実現してください。

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冬の無線綴じ対策|要点まとめ



背割れとは無線綴じ冊子の背に亀裂が入る現象で、ページ数が多い冊子や厚い用紙を使った冊子で発生しやすく、進行するとページが外れます。中綴じはホッチキスで綴じるため背割れがなく、冬の乾燥による影響も受けにくい特性があります。

冬に背割れが起きやすい理由は、湿度30%以下の乾燥により紙が硬く脆くなること、ホットメルト接着剤が低温で硬化し柔軟性を失うこと、室内外の温度差や湿度の急変が糊にストレスを与えることです。

背割れを防ぐ設計として、柔軟性のある90kg前後の用紙、適切な背加工、ページ数に応じた背幅の検討、柔軟な表紙素材、ノドの余白を多めに取るレイアウトが効果的です。冊子印刷ドットコムでは冬場も安心な背加工の品質管理を徹底しています。

冬場の保管と取り扱いでは、湿度40〜60%を保った環境、温度変化の最小化、いきなり180度開かず徐々に開く配慮、使用前の数時間の室温慣らし、40ページ以下なら中綴じ検討が重要です。

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