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印刷・製本コラム

自治体広報誌・議会だよりの冊子印刷|読みやすさを支えるデザイン設計

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自治体が発行する広報誌や議会だよりは、行政情報を住民に伝える公式な媒体です。イベント情報、施策の説明、予算の使途、議会の審議内容など、地域社会を支える重要な情報が掲載されています。

全世帯配布が基本となる自治体広報は、子どもから高齢者まで幅広い世代が読む資料です。そのため、誰にとっても読みやすいデザイン設計が求められます。しかし限られた予算と制作期間の中で、どうすれば読みやすさと信頼性を両立できるのでしょうか。冊子印刷で実現する効果的な自治体広報づくりのポイントを解説します。

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自治体広報誌に求められる役割とは



自治体広報誌はなぜ冊子形式で発行され続けているのでしょうか。

最も重要なのは「情報の平等な提供」です。デジタルデバイドの問題がある中、紙の広報誌なら全世帯に確実に情報を届けられます。インターネット環境がない家庭、スマートフォンを使わない高齢者にも、行政情報を公平に伝えることができます。

公的記録としての価値も大きな理由です。自治体広報は図書館に保管され、地域の歴史資料となります。私が携わった市の広報誌制作では、50年前の広報誌を参照して地域の変遷を調べる機会がありました。

保存性の高さも利点です。ゴミ収集日カレンダーや防災マップなど、繰り返し参照する情報は、冊子として手元に置いておけることが重要です。冷蔵庫に貼ったり、玄関に置いたりと、生活の中で活用されます。

信頼性の表現という点も見逃せません。行政からの公式情報として、冊子という物理的な形態は「きちんと発行されている」という安心感を与えます。特に重要な施策の説明や、予算報告などでは、紙媒体の持つ信頼性が効果を発揮します。

読みやすさを実現するフォントと段組設計



どのような文字組みが、幅広い世代に読みやすい広報誌を作るのでしょうか。

フォント選択は可読性の基本です。本文には明朝体またはゴシック体を使用し、装飾的なフォントは避けます。特に高齢者への配慮として、文字サイズは10ポイント以上が推奨されます。小さすぎる文字は読む気力を削ぎます。

段組みは紙面サイズに応じて決めます。A4サイズなら2段組が読みやすく、1行の文字数が適切になります。3段組は情報量を増やせますが、文字サイズとのバランスを考慮する必要があります。

行間も重要な要素です。文字が詰まりすぎていると、どこを読んでいるか分からなくなります。行間を広めに取ることで、視線の移動がスムーズになり、読みやすさが向上します。

見出しの階層を明確にしましょう。大見出し、中見出し、小見出しでサイズと太さを変えることで、情報の構造が一目で理解できます。モノクロ印刷でも、文字サイズの差だけで十分に区別できます。

強調したい情報には工夫を加えます。「重要」「締切」などのマークを付けたり、枠で囲んだりすることで、見落としを防げます。ただし多用すると効果が薄れるため、本当に重要な情報に限定します。

余白の使い方も読みやすさを左右します。情報を詰め込みすぎず、適度な余白を確保することで、視覚的な圧迫感を軽減できます。私が担当した町の議会だよりでは、余白を増やしたことで「読みやすくなった」という住民からの反響がありました。

長期保存に適した用紙と製本の選択



自治体広報誌の冊子印刷では、どの製本方法と用紙が適しているでしょうか。

製本方法はページ数で判断します。月刊の広報誌で16ページから32ページ程度なら中綴じ製本が一般的です。コストを抑えられ、見開きでの地図やイベントカレンダーの掲載にも適しています。

年度末の総集版や議会年報など、ページ数が多い場合は無線綴じ製本を選択します。背表紙に発行年月を印刷できるため、図書館での保管や住民の手元での整理がしやすくなります。

用紙選びでは「長期保存」を意識します。本文用紙は上質紙が基本で、経年劣化に強く、黄ばみにくい特性があります。コート紙は写真の発色が良いですが、光沢があるため文字中心の広報誌には不向きです。

紙の厚みも考慮が必要です。薄すぎると裏移りが発生し、両面印刷の場合に裏面の文字が透けて見えます。適度な厚みのある用紙を選ぶことで、片面に集中して読める環境を作れます。

表紙の用紙は少し厚めにします。毎月配布される広報誌は、家庭で積み重ねて保管されることが多いため、表紙がしっかりしていると耐久性が高まります。

モノクロ冊子印刷は自治体広報に最適です。予算を抑えながら、文字情報を明瞭に印刷できます。カラーが必要な場合も、表紙のみカラーにするなど、部分的な使用でコストを管理できます。

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幅広い世代に届くデザインの配慮



どうすれば子どもから高齢者まで、すべての世代に読んでもらえる広報誌になるでしょうか。

高齢者への配慮として、文字サイズは大きめに設定します。重要なお知らせは特に大きな文字で目立たせることで、確実に伝えられます。色覚への配慮も重要で、モノクロ印刷なら色の区別による情報伝達がないため、すべての人に平等です。

子ども向けの情報は、ふりがなを付けることで読みやすくなります。学校行事や子育て支援の情報では、小学生でも理解できる表現を心がけます。

外国人住民への配慮も必要です。やさしい日本語での表記や、重要な情報には多言語表記を添えることで、すべての住民に開かれた広報となります。

レイアウトの統一性も大切です。毎月同じ位置に同じコーナーがあると、読者は目当ての情報を探しやすくなります。「今月のイベント」「ゴミ収集日」など、定番コーナーは固定化します。

写真やイラストを適度に配置することで、親しみやすい紙面になります。地域のイベント写真や、施設の様子などを掲載すると、住民の関心が高まります。モノクロでも、地域の温かさは十分に伝わります。

配布方法の工夫も重要です。確実に住民の手に届くよう、新聞折り込みやポスティング、公共施設での配布など、複数の経路を確保します。

自治体広報・議会だよりの冊子印刷は、住民との信頼関係を築く基盤です。モノクロ印刷でも、フォント・段組・用紙選びの工夫により、すべての世代に読みやすい広報を作れます。限られた予算を有効に活用し、住民に届く一冊を発行してください。

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自治体広報の冊子印刷とは|要点まとめ



自治体広報誌に求められる役割は、情報の平等な提供、公的記録としての価値、保存性の高さ、信頼性の表現です。デジタルデバイドの問題がある中、紙の広報誌なら全世帯に確実に情報を届けられます。

読みやすさを実現するには、明朝体またはゴシック体で10ポイント以上の文字サイズ、A4サイズなら2段組、広めの行間、見出しの階層の明確化、適度な余白の確保が重要です。情報を詰め込みすぎないことが読みやすさの鍵です。

製本方法は16〜32ページなら中綴じ、多ページなら無線綴じを選択し、用紙は長期保存に適した上質紙が基本です。表紙は少し厚めにすることで耐久性が高まり、モノクロ印刷で予算を抑えながら明瞭な印刷を実現できます。

幅広い世代への配慮として、高齢者向けに大きな文字、子ども向けにふりがな、外国人住民向けにやさしい日本語や多言語表記、レイアウトの統一性、写真やイラストの適度な配置が効果的です。すべての住民に開かれた広報を目指します。

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