手に取ってこそ伝わる紙の冊子の力

デジタル化が進み、あらゆる情報がスマートフォンやパソコンで閲覧できるようになった今でも、紙の冊子には根強い人気があります。ただ読めればいい、ということならデジタルで事足りるかもしれません。それでもあえて紙を選ぶ理由、それには確かな“手ごたえ”があります。今回は、紙の冊子だからこそ伝えられる力について考えてみましょう。
めくるという動作が記憶と感情を動かす
スマートフォンのスクロールでは得られない感覚、それが「めくる」動作にあります。ページをめくるたびに指先から伝わる質感、インクのにおい、紙の重み。これらは五感に直接訴えかけ、読んだ内容を印象づけてくれます。社内報や研修テキスト、イベントパンフレットなどでも、紙で渡した方が「ちゃんと読んだよ」と声が返ってくることが多いのは、こうした身体感覚と記憶の結びつきが理由です。視認性と集中力の高さは紙ならでは
紙の冊子は、目に優しいという特徴も見逃せません。長時間の読書や資料確認では、ディスプレイの光が負担になることがありますが、紙ならその心配はありません。また、紙面には通知も広告も表示されず、集中を妨げるものがありません。特に業務マニュアルや商品カタログのように、じっくりと見比べながら読み進める用途では、紙の使いやすさが際立ちます。保存性と信頼感が内容に重みを与える
紙の冊子は、一度作ればそのまま長期間保存できます。データのように消えたり、リンク切れで見られなくなることもありません。冊子として綴じられていること自体が、「これは大事な情報です」という無言のメッセージになります。周年記念誌や活動報告書など、“残す”ことに意味がある印刷物には、紙冊子が今も選ばれているのです。