小ロット印刷で叶える“限定ファンブック”制作【前編】

「ファンブック」と聞いて、どんな冊子を思い浮かべるでしょうか。
好きなアーティストのライブ記念、推しの誕生日、推しグループの応援企画、自作のイラストや小説をまとめた記念本──ファンブックの形は人それぞれですが、共通しているのは「とにかく愛を込めてつくる」という点です。
最近ではSNSを通じて簡単に作品を共有できる一方で、「あえて紙でまとめたい」「形に残したい」と考える人も増えてきました。少人数の仲間内で回す限定の1冊、部数10部からでもしっかり作れる印刷サービスがある今、ファンブックは個人でも手が届く存在になっています。
ファンブックってどんな冊子?
ファンブックといっても定義はさまざま。たとえばアーティストのライブ遠征記、キャラクターや俳優への想いを綴ったエッセイ、手描きの4コマ漫画や詩集など、内容も形式も自由です。中には、複数人で合同制作する「合同誌」や、グッズと一緒に配布する「おまけ冊子」もあります。どれにも共通しているのは、“好き”という気持ちを形にして誰かと共有すること。それが1人だけでも、10人でも、100人でも、その行為自体に大きな意味があります。
また、印刷して製本された冊子は「自分の中での完成品」としても特別感があり、達成感や満足感を得られるのもファンブック制作の醍醐味です。

デジタルとは違う“紙”の魅力
SNSやPDF配布で作品を見てもらう時代に、なぜ紙にするのか?その理由は「物理的に残ること」と「ページをめくる体験」にあります。
たとえばページの順番、文字組み、絵の配置。紙の冊子ではこれらすべてを設計者としてコントロールできます。作品集なら作品が並ぶ順番にも意味が出ますし、インタビューやエッセイでは「前置き→本編→あとがき」といった流れも読み手の体験を豊かにします。
紙の質感、重さ、インクの乗り方――どれもがファンブックに「自分らしさ」を宿らせてくれる要素です。
小ロット印刷だからできること
「10人くらいの友だちに配りたい」「イベントには出ないけど残したい」そうした小さな規模での制作は、昔はなかなか難しいものでした。しかし今は10部から注文できる小ロット対応の印刷通販が増えたことで、誰でもファンブックを冊子にできる時代になりました。
これにより、同人イベントに出展しない人や、SNSだけで活動しているクリエイターでも「1冊だけの記念本」「身内限定のお祝い本」といった用途で手軽に冊子化できます。もちろん、仲間とシェアして楽しんだり、推しへの献本として送ることも可能です。
後編では、実際にファンブックを制作する際の印刷・製本のポイントや、『冊子印刷ドットコム』を使った便利な制作手順についてご紹介します。