冊子づくりに役立つ知識:ベビーフェイス効果

皆さんは「ベビーフェイス」という言葉を聞いて、どんなイメージを浮かべますか?
辞書を引いてみると「大人なのに子どものように幼く、または若く見える顔つき。童顔」あるいは「プロレスの善玉役のレスラー」という説明がされています。
実はこの「ベビーフェイス」から連想されるイメージは、デザインや広告の世界でもたくさん応用されているのです。
それが今回ご紹介する「ベビーフェイス効果」です。 「ベビーフェイス効果(baby-face effect)」とは、一般に「幼い顔立ちや赤ちゃんのような特徴を持つ人が、他者から特定の印象や反応を引き起こす現象」のことだと説明されています。
先ほど辞書的な説明をしましたが、具体的に「ベビーフェイス」とは、次のような特徴を持つ顔立ちのことを指すと言われています。
1:顔全体の輪郭が丸みを感じさせる
2:大きな目を持つ
3:目に対して比較的小さな鼻と口を持つ
4:骨ばった印象がなく、尖った部分が少ない
どうでしょうか、まさに「赤ちゃんの顔」だと思いませんか?
これまで、ベビーフェイス効果に関する研究は、多くの心理学者や社会学者によって行われてきました。
この効果は、人間が進化の過程で幼児、つまり自分たちの子孫を保護するために発達した、本能的な反応からもたらされるという説が有力です。
こう言ってしまうと、「人間のような文明的に発達した生きものだけが持つもの」と思われるかもしれませんが、程度の差はあっても多くの哺乳類にも同じような反応があるということも言われています。
また、同じ生きものだけを対象にするのではなく、他の動物たちに対しても同様の反応を示すということも指摘されています。
子犬や子猫をかわいいと感じる気持ちも同じ部分から生まれていると考えると分かりやすいかなと思います。
ベビーフェイス効果は、特に社会的認知や対人関係において次のような強い影響が見られます。
1:純粋無垢なイメージを持たせ、他者からの保護を促します。
2:攻撃性が低く、他者に対して無害な印象を与えます。
3:保護を必要としている印象を与え、従順で依存的であると認識されます。
このように、相手の警戒心を解いて安心感を抱かせる効果があるわけですから、これをマーケティングに応用しようと考えるのは当然のことかもしれません。

では、実際のデザインにおいてベビーフェイス効果を利用するにはどのようにすればよいのかを考えていきましょう。
親しみやすさ、ベビーフェイス効果がもたらす信頼感や無害さ、親しみやすさを伝えるための具体的な方法として、次のようなものが挙げられます。
1: フォント
ベビーフェイス効果を強調するためには、角が丸い、柔らかな印象を持つゴシック系のフォントを選びましょう。
「丸ゴシック」「じゅん」などが有名ですが、その他にもフリーハンド系のフォントも効果的です。
2: 配色
パステルカラーに代表される柔らかな色合いを用いることで、温かみと親しみやすさを伝えることができます。
また、コントラストの高い配色を避け、視覚的に優しい印象の組み合わせを心がけましょう。
ただし、北欧系のデザインなどでは意外と高コントラストの配色もありますので、研究の余地はありそうです。
3: レイアウト
テキストの行間や文字間、また用紙の余白を十分に取り、リラックスした印象を与えましょう。
複雑なレイアウトを避け、シンプルで分かりやすいレイアウトになるように注意してください。
4:アイコンやイラスト
丸みを帯びたアイコンや柔らかなイラストもベビーフェイス効果をもたらします。
柔らかいイメージを伝えるような曲線を多用したデザインが効果的になります。
5:テキストのトーン&マナー
テキストの内容はもちろん、全体のトーンにも気を配りましょう。
フレンドリーな言葉遣いで、カジュアルかつ友好的な表現を心がけましょう。
また、複雑な言い回しや専門用語を避け、誰が読んでも理解しやすい文章にすることが大切です。
ベビーフェイス効果を積極的に活用したい冊子としては、教科書や参考書などが挙げられます。
特に幼児や低学年向けのものであれば、ベビーフェイス効果のもたらす親しみやすさは非常に有効です。
正しくデザインすることで、子どもたちの学習意欲を高め、楽しみながら学べる環境に繋がっていくでしょう。
ここまではベビーフェイス効果のもたらす恩恵についてご紹介してきましたが、逆にベビーフェイス効果が不利となる場面もあるので注意しましょう。
1:権威やリーダーシップが必要なケース
ベビーフェイス効果は幼さや無害さを連想させるため、リーダーシップや権威を発揮しなければいけない場面では、信頼感を得にくくなることがあります。
官公庁が発行する公文書や企業の決算書、報告書には不向きだと言えます。
2:厳しい規律が求められるケース
軍隊や警察など、権威と威厳が重視される職業に関する印刷物はもちろん、業務マニュアルなどにもベビーフェイス効果を取り入れるのは避けましょう。
小さなミスが重大な事故を引き起こしかねない業務で用いられるマニュアルの場合、よりシビアさを連想させたり、慎重さを促すデザインを使用する必要があります。
現代のマーケティングや商品企画に欠かせない「ベビーフェイス効果」を正しく用いて、皆さんの冊子づくりにお役立てください。
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