冊子印刷ドットコム-HOME » 印刷・製本コラム » ZINEを使った企業の新しい自己表現

印刷・製本コラム

ZINEを使った企業の新しい自己表現

ZINE


自社を紹介する手段として「会社案内」は欠かせないツールとなっています。
その一方、クリエイティブな表現方法として注目を集めているのが「ZINE」という自主制作冊子です。
この2つの異なる媒体を組み合わせることで、従来の会社案内の枠を超えた、個性的で魅力的な企業プレゼンテーションが可能になります。


今回は、会社案内とZINEを組み合わせるという新しいアプローチについてご紹介いたします。
ZINEの持つ自由な表現力と、会社案内の持つ情報伝達の役割をどのように融合させるか、そのメリットとデメリット、具体的な内容や制作形態など、ご参考になれば幸いです。

ZINEとは


ZINEとは「Magazine(マガジン)」の「Zine(ジン)」を取った造語で、個人や小規模なグループが自主的に制作・発行する小冊子を指します。制作者の趣味や関心、思想などを自由に表現できる媒体として、近年注目が集まっています。


■ZINEのユニークな点
・自主制作・自主発行という独立性、少部数での発行
・デザインや内容に関する自由度が高く、手作り感や個性を大切にした表現
・特定のテーマに特化し、商業的成功よりも自己表現や価値観の共有を重視


ZINEの歴史は1930年代のアメリカにまで遡ると言われています。
現在ではパンクムーブメントやアバンギャルド・アート、フェミニズム、政治運動など様々な文化的背景と結び付きながら発展し続けています。


デジタル技術の恩恵により、ZINEの制作はさらに身近なものとなり、企業のブランディングツールとしても注目されるようになりました。
自社の価値観や文化、ビジョンを従来の会社案内よりも自由な形で表現できる手段として、特に創造性を重視する企業や、独自の企業文化を持つ組織において採用されています。

会社案内とZINEの違い


会社案内とZINEは、その目的や特性において大きく異なります。
これらの違いを理解することが、両者を効果的に組み合わせるための第一歩となります。

■会社案内の特徴
目的と機能:会社概要などの基本情報を、外部のステークホルダーに向けて提供
内容と構成:社名、所在地、沿革、事業内容、製品・サービス紹介、経営理念、財務情報、組織図などで構成
デザイン:信頼性や安定感を伝えるために、フォーマルで客観的なトーンが好まれる
制作工程:広報部門や経営層の承認を経て作成され、情報の正確性や一貫性を重視

■ZINEの特徴
目的と機能:制作者の個性や価値観、興味を自由に表現し、狭い範囲で共有
内容と構成:制作者の感性に基づいた特定の情報によって構成
デザイン:実験的で手作り感を活かした表現が中心で、完璧さよりも個性を優先
制作工程:少人数または単独で企画から制作、配布まで手がけることが多い

これらの違いを踏まえ、会社案内とZINEのそれぞれの長所を組み合わせていきましょう。


会社案内とZINEを組み合わせるメリットとデメリット


企業が会社案内とZINEを融合させることには、様々なメリットとデメリットが存在します。自社の状況や目的に応じて、事前に検討しましょう。

■メリット
他社との差別化:従来の会社案内と一線を画す独自性のある表現は、受け取った人の記憶に強く残り、競合他社との差別化にもつながる。

企業文化や価値観の共有:数字やビジネス実績だけでは伝わりにくい企業の価値観や文化、社員の人間性をストーリーや視覚的要素を通じて効果的に伝えることができる。

ターゲット層との情緒的なつながり:特に創造性やイノベーションを重視する業界では、ZINEがもたらす自由な表現が共感を呼び、強い関係性を構築できる。

コスト効率と柔軟性:ZINEを用いたアプローチは更新も比較的容易で、必要に応じた部数を柔軟に発行できるため、コスト抑制につながる。

■デメリット
正確性への懸念:表現を重視するあまり、企業情報が不明確になったり、一貫性を欠くリスクがある。

特定の業界や取引先からの反発:保守的な業界や組織では、従来型の会社案内から大きく逸脱したデザインや内容に違和感を持たれるかもしれない。

制作の難しさ:創造的なプロセスを要するため、社内での適切な制作者の確保が難しい場合がある。

権限や責任の所在:表現の自由さをどこまで認めるのか、最終的な責任の所在などを明確にしておかないと、社内で混乱が生じる懸念がある。

会社案内とZINEを組み合わせるアプローチは、単なるトレンドではなく、企業コミュニケーションの新たな可能性を開くものです。
自社の特性や状況を踏まえ、両者のバランスを見極めることが成功への鍵となります。

ZINE1


ZINEで効果的に伝えられる要素


1)企業文化と価値観
社内の日常風景をフォトエッセイ形式で紹介
社員の声や価値観をインタビュー木地として掲載
会社の価値観を象徴するオブジェクトや場所を紹介


2)創業ストーリーとヒストリー
創業者のビジョンや創業期の困難をマンガや物語形式で表現
成功したプロジェクトの裏側や開発ストーリー
重要な転機やエピソードを特集記事としてまとめる


3)社員の個性とダイバーシティ
様々な部署や役職の社員による「1日のルーティン」を紹介
趣味や特技などに関する社外での活動を紹介
複数の社員によるテーマ別の座談会記録


4)地域社会との関わり
地域貢献活動やCSRの取り組みのレポート
地域社会や協働パートナーからのメッセージ
環境への取り組みやSDGsへの貢献に関する記事


5)ノウハウや知見の共有
業界トレンドに関する独自の分析や見解
技術に関する「ハウツー」コンテンツ
業界に関連する文化や歴史についてのエッセイ


ZINEの手軽さを生かすためには、テーマを1〜2つに絞りましょう。
読み手を引き込むユニークな内容や表現方法を追求しつつも、企業としての一貫したメッセージや信頼性を損なわない配慮も必要です。


ZINEにおすすめの印刷仕様


ZINEを発行する際には、デザインだけでなくその体裁も企業メッセージの一部となり得ます。
受け取った人の記憶に強く残るものにするために、既存の会社案内の体裁にとらわれず、正方形などのイレギュラーな判型を検討するのもよいでしょう。


二つ折にした紙の折目の部分を針金(ホチキスなど)で留める「中綴じ製本」は、無線綴じ(くるみ綴じ)に比べ耐久性は劣りますが、​​ZINEに求められる親しみやすさを演出するにはぴったりです。
よりインディペンデントなイメージを伝えたいなら、平積みにした紙の端をホチキス留めする「平綴じ製本」もよいでしょう。


ZINEで実現する新しい企業コミュニケーション


従来の会社案内は情報伝達に重点を置いた「説明」の媒体でしたが、ZINEは「共感」や「対話」を生む媒体だと言えます。
それは単なる一過性のトレンドではなく、情報過多の時代において、本当に伝えたいメッセージを効果的に届けるための有効な手段なのです。


貴社らしさを最大限に生かした、唯一無二のZINEの制作に、ぜひチャレンジしてみてください。
私たち冊子印刷ドットコムは、創業以来55年のノウハウで貴社の挑戦を全力でサポートいたします!

最新記事


冊子印刷ドットコムに電話で相談する

お問い合わせフォーム


© 株式会社春日 All rights reserved.

このページのトップへ戻る