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インタウンデザイナーのための冊子づくりガイド

デザイナー1

皆さんは「インタウンデザイナー」という言葉をご存じでしょうか?
これは経済産業省商務・サービスグループデザイン政策室が提唱したもので、「地域のために、地域に根差して、地域社会のさまざまなステークホルダーと連携しながらデザイン活動に取り組む人材」のことを「インタウンデザイナー」と呼んでいます。


この背景には少子高齢化や都市部への人口流出により、地域が多くの課題に直面していることが挙げられます。
これらの課題をデザイン人材と地域が協力することで解決し、地域の活性化に結び付けることが期待されているわけです。 具体的には、

地域の課題解決:デザインを活用して、地域の問題を解決するプロジェクトを企画・実施
地域活性化:地域の魅力を引き出し、観光や地元産業の振興を図る
コミュニティ形成:地域住民との交流を深め、地域の一体感を高めるイベントやワークショップを開催

といった動きがあります。

このように、地域に根差したインタウンデザイナーの存在は、地域活性化において重要な役割を担っています。
少々大げさな言い方になってしまいますが、地域の文化や歴史、人々の声に耳を傾け、それらを視覚的に表現することで、地域の魅力を再発見し、発信する橋渡し役となっているのです。

そんな地域密着型デザイナーの皆さんにとって、ミニコミ誌やフリーペーパーなどの「冊子」というメディアは強力なコミュニケーションツールとなるポテンシャルを秘めています。
今回は、地域活性化やブランディングにおいて冊子がどのように貢献できるのか、また効果的な冊子制作のポイントなどをご紹介します。

地域活性化・ブランディングツールとしての冊子の可能性


1)地域の「物語」を伝えるメディア
地域には固有の歴史や文化、自然や産業、そして何より「人」がいます。
これらが織りなす「物語」は、地域の最大の資産と言えます。
冊子は、この物語を視覚的・体系的に伝えるメディアとなります。
地域に伝わる民話や伝統工芸の技術、特産品を使った料理のレシピなど、デジタルでは伝わりにくい「温度」や「質感」を、紙の触感を伴って伝えることができます。

2)コミュニティの「つながり」を生み出す媒体
冊子制作のために立ち上げられたプロジェクトは、それ自体が地域コミュニティの「つながり」を生み出す機会となります。
取材や編集、デザインや配布など、制作プロセスのさまざまな段階で地域の人々が関わることで、新たな出会いや協働が生まれます。
世代間交流が自然と生まれたり、地元の店主同士のネットワークが醸成されることが期待できます。。

3)地域の「誇り」を再確認する機会
地域で暮らす人々にとって、自分たちの暮らす場所の魅力は「当たり前」になりがちで、その価値に気づきにくいものです。
冊子制作を通じて地域の魅力を掘り起こし、視覚化することで、住民自身が地域の良さを再確認し、誇りを持つきっかけとなります。
これが地域活性化の原動力となるわけです。地域を愛し、誇りに思うことが実際の行動を後押しすることにもつながります。

デザイナー

冊子制作の実践ステップとポイント


ここからは、地域活性化やブランディングのための冊子制作を進める際の実践的なステップとポイントを紹介します。

【企画から制作まで】
1)目的とターゲットの明確化
まず、何のために、誰に向けて冊子を作るのかを明確にしなくてはいけません。
具体的な配布場所や活用シーンをイメージしながら、冊子制作によって達成したい成果目標を設定しましょう。

2)地域のリサーチとコンテンツ収集
原稿づくりのために、地域の歴史や文化、産業などの情報を収集し、取材や撮影、インタビューの計画を立てます。
必要に応じて、地域住民からの情報提供を呼びかけてもいいでしょう。

3)編集とデザインの方向性決定
おおまかな構成とページ配分が決まったら、ターゲットとコンセプトに基づいたデザインサンプルを作成し、関係者で方向性を確認します。
もちろん同時進行でも構いません。

4)進捗のマネジメント
制作スケジュールと予算の管理には、専任の担当者を置くことをおすすめします。
原稿依頼やデザイン、校正だけでなく、印刷会社への依頼から納品までの進行管理を把握しておきましょう。

5)配布計画と効果測定
効果的な配布方法とタイミングも事前に検討しておきましょう。
イベントやプロモーションの企画を立てるのもよいでしょう。
配布した後は、アンケートや配布消化率、クーポンなどの使用状況から成果指標を測定します。

【地域のステークホルダーとの連携】
冊子制作を成功に導くには、地域の様々なステークホルダーとの連携が欠かせません。
自治体はもちろん、地域企業や商店、教育機関や観光関連団体とも連携し、一体となって取り組むことが大切です。

【持続可能な仕組みの構築】
一度きりではなく、継続的な取り組みとして冊子を発行するためには、まず経済的持続性の確保が必要です。
記事の有料枠化、広告収入や協賛金を得る方法を検討しましょう。
もちろん人的リソースも必要になりますから、地域での人材発掘やボランティアスタッフの組織化、制作ノウハウの共有とマニュアル化を進めましょう。

ミニコミ誌・フリーペーパーにおすすめの印刷仕様


ミニコミ誌やフリーペーパーなどの冊子におすすめの印刷仕様が「中綴じ印刷」です。
これは製本の方式の一種で、本文を開いた状態の紙を重ね、中央部分をホチキスなどの針金で綴じる製本方法です。
軽量で丸めることもできるなど、携帯性を求められるミニコミ誌やフリーペーパーにぴったりの仕様です。
また、比較的安価に仕上がることから、収益の基盤が安定していない段階でも負担の少ない印刷仕様であると言えるでしょう。

地域の未来を紡ぐ冊子づくりを始めましょう!


インタウンデザイナーとして冊子制作を通じて地域活性化やブランディングに貢献することは、大きな可能性を秘めています。
あなたの作る冊子は単なる情報媒体ではなく、「地域の物語を伝える」「コミュニティのつながりを生む」「地域の誇りを再確認する」など、多面的な役割を果たします。

インタウンデザイナーの皆さまが冊子の可能性を最大限に活かし、地域と共に歩みながら活躍できるよう、冊子印刷ドットコムは創業以来55年にわたる冊子づくりで蓄積したノウハウでサポートさせていただきます!
さあ、地域の未来を紡ぐ冊子づくりを、皆さんの手で始めてみませんか?

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