社内報・広報誌の新たな可能性
日々デジタル化が進む中、「なぜ今も紙の冊子なのか?」という疑問を持たれる方も多いかもしれません。
確かに、情報伝達の即時性や双方向性において、デジタル・メディアは大きな強みを持っていることは否定できません。
しかし、私たちは印刷業務に携わりながら、紙媒体だからこそ実現できる価値があることも実感しています。
今回は、社内報と広報誌という、企業にとっての重要なコミュニケーションツールに焦点を当て、その特徴や活用方法についてご紹介していきます。 まず最初に、社内報と広報誌の違いについて知っておきましょう。
社内報のターゲットとなる読者は、社内の従業員とその家族が中心となります。
ですから、社内報には社内コミュニケーションを活性化したり、企業文化を醸成し浸透させていくという役割が求められるわけです。
社内でのイベントや部署の紹介、社員へのインタビュー、経営方針の説明などを親しみやすく表現し、社員の一体感やモチベーションの向上につなげられるようなものにします。
これに対して広報誌のターゲットとなるのは、顧客や取引先、地域社会など外部のステークホルダーとなります。
そこでは企業イメージの向上をはじめ、商品やサービスの認知度向上につながる内容が求められます。
企業の取り組みや新製品情報、社会貢献活動の様子や業界動向などを、プロフェッショナルなイメージで信頼感のある表現が必要になるわけです。
ここからは社内報と広報誌、それぞれの役割と期待される効果をもう少し具体的に見ていきます。
社内報の役割
1)情報共有プラットフォーム
経営方針や会社の方向性を社内に浸透させるために、社長メッセージを連載したり、経営計画の進捗状況を報告していきます。
新規事業展開の説明や組織変更、人事異動の告知なども行います。
また部門を越えた相互理解を促進できるように、各部署の業務内容を紹介したり、プロジェクトの進捗報告、部門を横断した取り組みの事例、支社・営業所の活動を紹介していきます。
さらに、社内報は社員の活動や成果を可視化する場という役割も持っています。
目標達成者へのインタビューや改善提案事例の共有、資格取得者の紹介や社内表彰制度の結果報告も盛り込みましょう。
2)モチベーション向上ツール
社員の功績や成長を紹介することで共感を喚起し、社内の一体感を醸成しましょう。
そのために、若手社員の成長ストーリーやベテラン社員の経験談をはじめ、困難を乗り越えた体験談やチーム活動の成功事例を伝えていきます。
それらに合わせて部門別目標の進捗状況や好業績部門の取り組み紹介、改善活動の成果報告やチャレンジ事例の共有ができると、実際の業務に当たる際のモチベーション向上にもつながるでしょう。
また社員間の絆づくりの場として、社員の趣味や特技の紹介、同好会活動やサークル情報、社内イベントのレポートや育児・介護体験記といった、仕事から少し距離を置きながらも、誰もが気になる情報を掲載すると、バラエティーに富んだ紙面づくりが可能になります。
3)社内文化の形成
社内報には、ビジョンをはじめとする企業理念浸透という役割も欠かせません。
理念を体現する社員を紹介したり、創業者の想いを伝える特集や会社のヒストリー、理念に基づく行動指針の解説を盛り込みましょう。
仕事観やキャリア観に関する社員同士の対談や、多様な働き方の紹介、ワークライフバランスの実践例や社内制度の活用事例を掲載することで、価値観の共有も図ることができます。
また、全社的な取り組みの報告や拠点間の交流促進、世代を超えた対話の場や家族向けコンテンツなども企画し、組織のさらなる一体感醸成につなげていきましょう。
広報誌の役割
1)先ほどもご紹介した通り、広報誌の最も重要な役割の1つにブランディングが挙げられます。
企業価値を表現する場として、企業理念の実践事例や技術開発ストーリー、品質へのこだわりや従業員の専門性などを紹介していきます。
それに合わせて、特許技術の解説や独自のサービス体制、業界内での自社のポジションや歴史に基づく信頼性を伝えることで、自社ならではの強みをアピールすることができます。
また、お客様との対話や取引先との協力体制、品質管理体制の解説や安全への取り組みを盛り込めば、読者である顧客やユーザーとの信頼関係の構築にも役立つでしょう。
2)マーケティング
新製品開発の背景や製品の使用事例、カスタマイズ事例やメンテナンスサポート体制など、商品やサービスの詳細な紹介をすることで、マーケティングにも役立てることができます。
技術力や専門性をアピールするために、研究開発の最前線や技術者のインタビュー、品質管理の取り組みや特殊技術の解説も盛り込んでいきたいところです。
そこにお客様の声の紹介や導入事例の分析、市場トレンドの解説や業界動向の報告も掲載することで、自社が顧客のニーズを把握していることを伝えることができます。
3)社会との関係構築
近年よく話題として取り上げられる、企業の社会的責任(CSR)活動を報告する場としても広報誌を利用することができます。
環境保護活動の実績や省エネ・リサイクルの取り組み、働き方改革の推進状況、ダイバーシティの実践を積極的にアピールしていきましょう。
また、地域イベントへの参加の様子や清掃活動・ボランティア、地域産業との協働や教育支援活動の報告も盛り込んで、地域貢献の様子を発信することもできます。
さらに、株主向け情報の開示や投資家との対話、行政との連携事例、業界団体での活動の様子も盛り込むことができれば、ステークホルダーとの関係強化につながるはずです。
4)情報発信プラットフォーム
そして、広報誌には企業情報を戦略的に開示するという役割もあります。
決算情報のダイジェストや事業戦略の説明、設備投資の状況や人材育成の取り組みなどを積極的にアピールしていきましょう。
また業界動向の分析として、市場環境の解説や技術トレンド情報、規制動向の報告や海外市場の動向なども掲載することで、より読者の興味を刺激することが可能になります。
同時に、自社の未来への展望をアピールするために、中長期ビジョンや研究開発の方向性、新規事業の展開予定、SDGsへの取り組みなども忘れずにいたいところです。
皆さまの会社では、企業の公式サイトや社内向けのポータルサイトをお持ちだと思います。そこで、社内報・広報誌のWEBとの連動による相乗効果について考えてみたいと思います。
まずはクロスメディア戦略です。二次元コードを活用し、紙面の限られたスペースでは紹介しきれなかった詳細情報へ誘導したり、動画や音声などのインタラクティブなコンテンツとの連携といったことも可能です。
またアンケート収集についても、WEBを利用することで集計や分析が楽になるというメリットもあります。
さらにデジタルデータとしてアーカイブすることでバックナンバーの公開も容易になります。
在庫を保つ必要がなくなり、検索機能を提供することで情報の再利用にもつながります。
冊子印刷ドットコムでは電子ブックの制作も可能ですので、ぜひご利用ください。
そして、デジタルコンテンツには双方向コミュニケーションが容易であるという側面もあります。
SNSと連携することで読者の反応を即時に収集できますし、対話の機会創出や拡散効果の活用も可能となります。
これはコンテンツの発展にもつながり、WEB限定コンテンツや読者参加型企画の実施、フィードバックの活用といったことも考えられます。
これまでの記事でも、「デジタル時代だからこそ、手に取ってインクの匂いを感じながらページをめくる」ことの大切さを繰り返しご紹介してきました。
重さや動作を伴う体験がもたらす価値は、もしかすると以前より特別なものとなっているのかもしれません。
ですから、冊子による社内報や広報誌は、単なる情報伝達手段だけではなく、組織の「想い」や「文化」を伝える重要なメディアとしての役割も担っているわけです。
無線綴じ製本(くるみ製本)、中綴じ製本で豊富な経験を持つ冊子印刷ドットコムは、これからも、紙媒体ならではの価値を最大限に活かした社内報・広報誌の制作を提案していきます。
皆さまの「伝えたい想い」を最適な形で実現するパートナーとしてお役立てください!