その写真、本当に使って大丈夫?冊子を印刷する時にも注意しよう
「パンフレットを作りたいけど、手元に良い写真がないなぁ……」「年末年始のチラシ、もっと季節感を出したいけどまだ秋だし……」と困った末に、「そうだ、ネットから何か使えそうな画像を適当にダウンロードしちゃおう!」と思った経験はありませんか?それ、本当に危ないですよ!
過去にも、作者の表記もなく、フリー素材だと思い込んで使った写真が著作権侵害に当たり、数十万円の罰金を課せられたり、他人のブログから無断で転用した写真が元でホームページに謝罪文を載せることになったことがあります。 例えば
・滋賀・野洲市の機関誌が有料イラストの無断使用で30万円を請求される
・高砂市がイラスト無断掲載し、業者が40万円の賠償請求
・ネット上の写真を無断掲載して、JR東新潟支社が謝罪
など、イラストや写真の著作権に関するトラブルの事例は枚挙にいとまがありません。
判例としては「フリーサイトから入手した写真であっても、著作権者が誰かを示す情報がなく、誰の著作物か不明な素材は他人の著作権を侵害する可能性がある以上、使用してはならない」、つまり「Webサイトからから写真をダウンロードして使用した場合、利用者は著作権侵害をしたものとして損害賠償責任を負う」とされているわけです。結構怖くないですか?
たとえ商用ではなく個人的な印刷物であっても、「著作権について知らなかった」「Webで公開されているからフリーだと思っていた」という言い訳ではすまされないのです。
そんな時に安心して使えるのが、いわゆる「素材サイト」というものです。
様々なサービスがありますが、プロ・アマ問わず使われている代表的なものとして
Adobe Stock(https://stock.adobe.com/jp/)
PIXTA(https://pixta.jp/)
写真AC(https://www.photo-ac.com/)
があります。これらのサービスはいずれも著作権の問題をクリアしていますので安心して使用することができます。また、写真だけではなく、イラストや動画、BGM素材までこれらのサイトでカバーすることが可能です。
素材サイトは、基本的に「フリー素材サイト」と「有料素材サイト」という2つに分けることができますが、料金以上に重要な点があります。それは「商用利用が可能かどうか」ということです。
あくまでも個人で利用という場合、先ほどのサイトであれば、あまり気にせずにダウンロードして使用することができます。しかし、会社や店舗の広告物として使用するなら、その素材が商用利用可能かどうかを必ず確認しなくてはいけません。
どんなに気に入った素材であっても、そのサイトが商用使用を禁止していれば、事業用途での使用はできません。ほとんどの素材サイトは「利用規約」(表現はサイトにより異なります)として、商用利用の可否とその条件を明記しています。
単に「商用利用OK」と表示されていても、実は商品や用途によって細かな規制が設定されていることもあります。例えば、公序良俗に反する商品やサービスでの使用は、ほとんどの場合NGとされています。また、印刷物であるならば印刷部数の上限を定めているサイトもあります。
いずれにしても、素材を事業用途で使用する際は、料金よりもまず法的な利用条件を確認することが重要です。不要なトラブルを避けるためにも、サイトの規約を必ず読んで利用方法を理解しましょう。
では、あなたがデザイナーだとして、素材の料金はクライアントとデザイナーどちらが負担すべきでしょうか?実はこれ、ケース・バイ・ケースで正解がないというのが結論です。基本的には「素材サイトのアカウントを誰が持っているのか」ということが判断基準の1つとなるでしょう。
さまざまな素材サイト側の利用規約を見てみると、
・素材サイトは使用権を売っているだけで、著作権や占有権を譲渡していない
・使用権は契約者(素材サイトのアカウントを持っている人)に帰属する
・使用権は第三者に譲渡できない
というのが大筋のようです。
ですから、もしあなたが「これからも同じ写真を使いたい。別のクライアントからの依頼にも、少し編集を加えて使うかもしれない」というのであれば、ご自身で購入した方がいいでしょう。逆に言うと、素材サイトとの契約を持つクライアントから支給された写真素材を、他のクライアントの案件に使い回してはいけないということです。これは、先ほどの「使用権は契約者に帰属する」ということを考えれば当然のことなのです。
いろいろと怖くてややこしい話を書き連ねてきましたが、もし「このサイトの画像、本当に使っても大丈夫なのかな?」「提供された素材だけど心配……」という不安があるのでしたら、事前に冊子印刷ドットコムまでご相談ください。当社のベテランスタッフが丁寧にサポートいたします(ただし、あくまでもアドバイスでありますので、法的根拠に関してはご容赦ください)。
その他、くるみ綴じ製本や中綴じ製本など、冊子づくりに関する印刷や用紙といった技術的なサポートもお任せください。お客様の不安を可能な限り解消できるよう、社員一同サポートしてまいります!