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印刷・製本コラム

白いインクで印刷できないの?

色見本

「表紙には色の付いた用紙を使って、文字は白で……」と考えていたのに、いざ入稿しようとしたら、「白のインクでは刷れません」と言われた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?実はこれ、よくある失敗なんです。 通常、「4色カラー」あるいは「フルカラー」と呼ばれているものは
・C(シアン)
・M(マゼンタ)
・Y(イエロー)
・K(ブラック)
という、青・赤・黄・黒の4色が混合されて印刷されています。


C(シアン)は青というよりも水色、M(マゼンタ)は赤というよりもピンクに近いイメージのインクです。ちなみに、業界的には「インキ」と呼ばれますが、ここでは一般的な「インク」という言葉を使用します。


黒が「K」と呼ばれているのは、Key Plate(キープレート)という言葉が由来だと言われています。キープレートとは、画像の輪郭や罫線・文字などを表現する印刷板のことで、これが黒のことを「K」と表す始まりになったそうです。決して「Kuro」の頭文字ということではないんですね。


CMYK



このCMYKの各インクをどんな濃度で混ぜ合わせるかによって、複雑な色が表現されるわけなんです。私たちが一般的に「赤」と言う時にイメージしているのは、印刷の現場ではM100%+Y100%で表現されます。


また、インクの濃度は決して何かで薄めたりするのではなく、「アミ点」という小さな点の密度を変えることで表現します。鉛筆で点描をやってみたことのある方ならイメージしやすいかもしれませんね。アミ点の密度が低ければ下の紙色が透けて見える=薄いということになるわけです。


実際の印刷では、CMYKの各インクを順番に重ねて刷っていくことになりますから、「版ズレ」と呼ばれる微妙な誤差が生じる可能性があります。その結果、文字や線のエッジ(輪郭)がぼやけてしまうことがあるんです。


例えば、小さな文字を4色の混合で印刷すると、その誤差が生じる可能性が4倍になります。ですから、論文や年報など、文字量が多くなりがちで、しかも「読ませる」ことが最も優先される目的である場合、本文は黒のみで印刷されることが多いわけです。


版ズレの原因として最も大きな比重を占めるのが「印刷会社のスキル」です。大切な印刷物ですから、価格や納期だけでなく、どんな技術を持った印刷会社なのかもしっかりと吟味するようにしましょう。


一方、フルカラー印刷ではできない色を表現できるのが「特色印刷」です。DIC、Pantone(パントーン)、TOYOといったところが有名ですが、そのようなメーカーが製造するインクを用います。冊子印刷ドットコムでは、世界トップシェアを誇るディーアイシー(旧社名:大日本インキ化学工業)が製造するインクを使用しています。


色の指定には、「DICカラーガイド」と呼ばれる色見本を使って色番号を指定します。一般的には「ディックの〇〇番」というように、社名の「ディーアイシー」ではなく「ディック」と呼ばれることの方が多いようです。


フルカラー印刷の場合、CMYKという4色のインクを、アミ点を使って組み合わせることで色を表現するのに対し、特色印刷では特定の色に合わせて調合したインクだけを使って印刷します。つまり、フルカラー印刷では「白」という色は表現できない(用紙の色が透けるだけ)のに対し、特色印刷では「白」というインクを使って印刷できるわけです。


さらに、特色印刷では白だけでなく、蛍光色や金・銀・パールといった表現も可能になります。ただし、あくまでもインクによる表現ですので、箔押し加工とは違うという点はご注意ください。使用できる特色インクには制限がありますので、ご希望の際はあらかじめお電話にて冊子印刷ドットコムまでお問い合わせください。


また、特色インクは基本的に濃度100%で使用することが前提となっていますので、アミ点をかけ合わせて色を表現するフルカラー印刷と比べ、色が鮮やかで文字や線の輪郭がシャープに印刷されるという特徴があります。くるみ綴じ印刷の冊子で、表紙(背表紙)に凹凸感のある用紙を使用して色文字をしようする場合、特色印刷の方がシャープに表現できるようになります。


このように、フルカラー印刷、特色印刷ともにメリットやデメリットがあります。特にコスト面への影響は大きくなります。例えば、本文内で強調したい部分にだけ赤を使いたいといった場合、フルカラー印刷にするのか、赤は特色にして黒+赤の2色印刷にするのかで料金は変動します。一概に「こうなります」ということがご説明しにくい、ケース・バイ・ケースな部分ではありますので、事前にご確認ください。


いずれにしても、カラー印刷の仕上がりは印刷会社の持つスキルが大きく影響します。創業55年のキャリアに裏打ちされた、高いスキルが自慢の冊子印刷ドットコムなら、お客様の大切な印刷物も安心してお任せいただけます。カラー印刷の仕様で迷ってしまったら、何なりとお問い合わせください!

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