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校正のお仕事

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皆さんは「校正」という言葉を聞いて、どんな仕事を思い浮かべますか?「文章の誤字・脱字をチェックして直す仕事」くらいのイメージかもしれません。あるいは、数年前に放送された、石原さとみさん主演の『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。


今回は出版物に欠かせない縁の下の力持ち、校正・校閲の仕事についてご紹介していきます。 「校正」と「校閲」は同じようなイメージで語られることも多いのですが、厳密にはその仕事内容には違いがあります。どちらも「原稿に目を通して誤りを正すこと」が仕事なのですが、確認するポイントが異なるのです。


校正とは、誤字・脱字や文法上の誤り、英語のスペルミスはもちろん、文章全体での表記のゆれ、さらには文章構成や内容の矛盾などを確認して、正しく修正する仕事です。また、媒体によっては表記や用語のルールが設定されている場合もありますので、掲載する予定の文章がそのルールから逸脱していないのかも確認します。


これに対して校閲とは、文章の内容に事実誤認がないかを確認するために資料を参照したり、著作権に関する法律に抵触する無許可での引用がないか、差別や過度に攻撃的な表現がないかなどを確認して修正します。校正では誤字・脱字、あるいは文法的な問題を確認しますが、校閲は文章に記述された内容にまで踏み込み、事実との相違や表現の適否を精査することになります。


校閲の仕事には、昨今よく耳にするファクトチェック(記事内の固有名詞や数字を含むデータの正誤、法令違反の表現がないかのチェック)も含まれると考えてよいでしょう。


校正・校閲の歴史は出版物・印刷物の歴史と共にあり、例えば1776年に採択されたアメリカ独立宣言は、トーマス・ジェファーソンが初稿を起草しましたが、その初稿は他の委員によって校正と修正が加えられました。ジョン・アダムズとベンジャミン・フランクリンらが重要な役割を果たし、文言の微調整と改善を行いました。


日本の校正・校閲の歴史を語る時に欠かせないのが、東京日日新聞(毎日新聞の前身)の社長だった福地源一郎さんです。論語の「後生おそるべし」をもじって「校正おそるべし」という張り紙をしたというエピソードもあり、「校正は原稿に劣らないほど重要だ」という意味の名言とし語り継がれています。また、校正に関する日本最初の本と言われる『校正の研究』を出したのが、毎日新聞のもう一つの前身である大阪毎日新聞だっということも知られています。


校正・校閲に向いている人として、次のような特徴が挙げられます。
・読書が好きで、活字に触れている人
・細部まで目が行き届いて、黙々と作業をこなせる人
・文法や漢字の間違いを正すために、文章表現に対する知識がある人
・勉強を怠らず、正確な知識を得ようとする探求心や向上心がある人
・集中力、注意力、根気のある人
・プロ意識のある人
こうして並べて見るとイメージ通りな気がしますが、忘れてはならないのがコミュニケーション能力です。


校正・校閲の仕事は1人で黙々と行うものというイメージがあるかと思いますが、現場においては執筆や編集と同じ制作工程の一部ですから、全体の予算やスケジュールに縛られ、自分1人で仕事を完結させることはできません。著者はもちろん、他部署の担当者とのやり取りや連携・協働は欠かせませんので、常に円滑なコミュニケーションを図ることが求められます。


校正2



校正・校閲の仕事に就くには、特別な資格は必要ありませんが、主に
・校閲部門のある出版社や新聞社、印刷会社、校正・校閲専門会社などに就職する
・編集者やライターを経験した後、校閲者になる
・大学の文学部や社会学部、情報学部、校正を扱う専門学校などで日本語力や校正の基礎を学ぶ
・クラウドソーシングなどで単発の仕事を請け負って経験を積む
などの方法が挙げられます。


また、就職を有利にしたり、独自に校閲のスキルを身につけるために次のような資格の取得を目指すこともできます。
校正士: 実務教育研究所が実施する「校正実務講座」を受講し、自宅で行われる修了試験に合格すると取得できます。書籍や雑誌などの印刷物の誤字脱字を正す校正の技能を認められた人に与えられます。
校正技能検定:日本エディタースクールが主催・実施する、書籍や雑誌の誤字・脱字、表記の誤りをチェックする技能を認定する検定試験です。中級と上級の資格試験が行われています。


昔、ある大手新聞に短い記事を書く機会があったのですが、初めての経験でもあり、いつもの調子で入稿したら、校正担当の方から文字通り「真っ赤」に指摘を入れられたことがあります。新聞独特の表現法はもちろん、読者層に対して適した表現であるかどうかまで、ビッシリと書き込まれた原稿を見て、恥ずかしくなるのと同時に、「ああ、こうやって新聞のクオリティが保たれているんだな」と痛感したことを今も覚えています。


皆さんが査読を含め校正・校閲を受ける機会がある代表的なケースが、論文の類ではないでしょうか。冊子印刷ドットコムの「まるっとゼミ得」なら、専門のスタッフが最後の砦として印刷工程に入る前に原稿に目を通してチェックをいたします。製本方法も、代表的なくるみ綴じ(無線綴じ)から上製本まで承ります。


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