本が濡れてしまったら
台風や突然のゲリラ豪雨はもちろん、テーブルでのうっかりコップを倒してしまうなど、大切な本が濡れてしまう原因はさまざまです。
濡れた本をそのまま放置すると、紙が歪んでくしゃくしゃになったり、ページがくっついたり、インクが滲んでしまったりして読めなくってしまいます。それだけではなく、カビが発生して異臭を放つなど、手元に置いておくことすらできなくなる可能性もあります。
今回は、濡れた本をできるだけ元の状態に戻し、再び読めるようにするための方法をご紹介していきます。 まず、共通した注意事項として
・濡れたままの状態で放置するとカビの危険があります。3日を目処に対応しましょう。
・泥水や汚水で濡れてしまった時は、一度水道水で洗ってから作業を進めましょう。
・濡れたままでは柔らかく裂けやすくなっているため、無理に開けないようにしましょう。
・アート紙やコート紙などの塗工紙を使った本は、乾くとページが貼り付いてしまい、剥がせなくなることがあります。特に迅速な対応が必要です。
濡れた本を乾かす方法として一般に知られたものには、次のようなものがあります。
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それぞれ、どのようなメリット／デメリットがあるのでしょうか。
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ページを開き、濡れた場所にアイロンを当てて加熱します。比較的手軽に作業ができ、乾燥に必要な時間も短くなります。ただし、急激な湿度の変化を与えるため、紙の歪みや反り返りなど、変形が大きくなる可能性が高くなります。また、PP加工が施された本ではフィルムの剥がれが発生して、「元通りにする」という目的は果たせなくなってしまいます。
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これもよく知られた方法ですが、アイロンと同様、紙の変形が生じやすくなります。変形を少しでも抑えたい場合は、熱風ではなく冷風を使いましょう。少ないページや本の一部が濡れてしまった場合ではアイロンよりも手軽ですし、手元にある道具ですぐに対応できるというメリットはあります。教科書やマニュアルなどの長期保存が必要ない、あるいは後日買い直すことができる本を今すぐに使えるようにしたい場合には良い方法だと言えるでしょう。
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テレビやネットなどで「裏ワザ」的に紹介されることが多いのがこの方法です。
まずタオルを使って大まかに水分を吸い取ります。この時、無理にこすったりしないようにしましょう。そしてジップロックに入れて冷凍庫に入れます。ジップロックに入れるのは、あくまでも冷凍庫内の食品の匂いや汚れが移らないようにするためなので、必要に応じて行ってください。また、湿気を逃がせるようにジップロックの口は空けておきます。本の数やページ数にもよりますが、おおむね24時間〜48時間を目安に冷凍庫から取り出します。
この方法は写真集や美術書など、濡れると張り付きが起こりやすいアート紙やコート紙を使った本で、すぐに作業に取り掛かれない時の応急処置としても効果的だとされています。
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国会図書館をはじめ、多くの専門家が推奨しているのがこの方法です。
まずは冷凍させる時と同様に、タオルなどで大まかに吸水します。押さえたり叩くようにして、決してゴシゴシとこすらないようにしてください。
この後、ペーパータオルなどを挟んでいきます。ただし、少しでも作業時間を短縮させようとしてたくさん挟んでしまうと、その厚みで本が変形したまま乾いてしまうので注意しましょう。一度にたくさんのペーパータオルを挟むのではなく、最小限の量をこまめに交換することがポイントです。また、1パージずつ挟むことが理想ですが、この段階でページが剥がせなくなっている場合は、作業を繰り返すうちに剥がしやすくなるので、ある程度まとまった状態で作業を進めても大丈夫です。
ペーパータオルを挟んだ状態で本の上から重石を乗せます。本全体に重量がかかるように、本に板などを乗せておくと変形を減らすことができます。そして、こまめにペーパータオルを交換していきます。
かなり手間がかかる作業で、一度にたくさんの本を乾燥させることは難しいのですが、比較的変形が少なく仕上がるので、大切な本、貴重な本におすすめの方法です。
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大量の本が濡れてしまった場合。ページを開いて立てた状態にし、扇風機を当てて半乾きの状態まで乾かし、その後�い虜邏箸飽椶襪箸いκ�法もあります。ただし、平綴じ製本など本を立てることが難しいものでは使いにくいやり方です。
また、ネットには電子レンジを使うというやり方も紹介されていますが、アイロンと同様、急激に湿度が変わるために変形を生じやすく、またインクの変色などの可能性もありますのでおすすめできません。
いかがでしたでしょうか？私自身、大切な本を窓際に置いたまま外出してしまい、突然の夕立でびしょ濡れにしてしまった経験があります……。この時、これらの方法を知っていれば良かったのにと、今さらながら後悔しています。
ただし、以上の方法は100％の効果を保証するものではありませんので、あくまでも自己責任で行ってください。
