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印刷・製本コラム

「インクの歴史と現在使用されているインクの種類」

印刷において用いられているインクというのは、印刷の技術を開発すると同時に進歩していき、現在使用されているインクになるまでに色々な改良が加えられてきたものです。

世界各地で古くから印刷物が用いられてきましたが、世界で見つかっている最も古い印刷物というのは、中国で見つかっているものです。
七世紀半ばにみつかっています。

みつかった印刷物に使用されていたインクは粘土やすすなどをまぜたもので、木版を使用して印刷されたものでした。
インクの中でも最も古いこのようなインクは現在使用されているインクとは全く異なるものです。

活版印刷による印刷技術の誕生


現在使用されている印刷技術の基本となっている活版印刷と呼ばれるものを発明したのはヨハネス・グーテンベルクという人で、聖書を印刷するために発明されました。
活版印刷技術を確立して聖書を印刷し、数多く出版することで、次第に世界各地に拡散されていきます。

活版印刷というのは、活字を使用して行う印刷のことです。
印刷には大きく分けると4つの種類があります。
版の種類ごとに凸版、平版、凹版、孔版とに分類しますが、活版印刷の場合には凸版印刷に分類されます。

凸版印刷には鉛板、写真凸版などもあり、これらをすべてまとめて活版印刷いいます。
木版刷りやハンコと同じように、とてもシンプルな仕組みになります。
印刷される部分が印刷されない部分よりも出っ張っているので、そこにインクがつきます。
そして紙を上から乗せて圧力をかけることで、紙にインクを転写します。

木版刷りの場合には版がひとつの板から作られていますが、活版印刷の場合には文字の1つひとつがそれぞれ異なる活字によって作られています。
そのため、文字を差し換えたり、印刷が終わってから別の版へと組み込むことができます。

現在ではとても効率が良く、なおかつクオリティも高いオフセット印刷を主に使用するようになっていますが、活版印刷の技術というのは根強い人気があり、現在も技術は残っています。

色のついたインクの登場とインクの種類


現在では当たり前のように使用されている色のついたインクですが、この色のついたインクが作られるようになったのは18世紀になってからになります。
印刷技術が世界各地に広がっていき、改良されることによってインク製造がひとつの工業として確立されました。
そして印刷に適したインクがどんどんと開発されるようになりました。

現在では多種多様なインクが登場しています。
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本的な4色だけではありません。
色々な種類のインクを作成できるようになっています。
基本四色以外のインクというのは特色と呼ばれています。

これらの色を使用する場合には色見本を参考にしながら支持すると顔料などをあわせて好みの色を作ってもらうことができるのです。
さらに蛍光色、メタリックカラー、さらには暗い場所で発行するものなどその種類は多種多様です。

現在使用されているインクは、環境に配慮されたものも増えています。
インクの原料には石油系のもの、つまり化学物質が使用されることが大半でしたが、近年では大豆油を使用したものやヤシ油を使用したベジタブルインキなども使用されています。

さらに紫外線のエネルギーによって硬化するUVインクなど環境に配慮したものが増えてきているのです。


インクの種類による印刷物の仕上がり


インクの種類というのは印刷物の仕上がりを大きく左右するものです。
印刷業界ではインキと呼ばれることも多いですが、一般的にはインクジェットプリンター、イラストなどに使用される顔料はインクと呼ばれます。

オフセット印刷は、非常に薄いアルミ製の板に感光剤を塗ってインクをのせます。
インクをのせる部分、そしてのせない部分を作ることによって印刷をしていきます。
ただ、活版印刷とは異なり、版に凹凸はありません。

親水性と親油性の部分に分けられているので、油性のインクが載っている部分だけが描画されるようになっています。

オンデマンド印刷において使用されるインクは、粉状のトナーです。
オフィスでコピー機についているトナーの交換をしたことがある方ならわかると思いますが、ドロドロとしたインクではなく、色鮮やかなマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの基本4色の粉が入っています。
その粉が入った筒が入っています。

トナーの粒子というのは肉眼でははっきりと見えないくらいにとても細かいですので、繊細な表現も容易にできるのです。
オンデマンド印刷は静電気の力を使ってトナーを吹き付けます。
そして瞬時に熱によって用紙にしっかりと定着させます。
粉を使用しているからといって、仕上がりが粉っぽくなるわけではありませんし、仕上がりはオフセット印刷よりもツヤがあります。

オフセット印刷と同様に基本4色で表現されますので、色調に大きく違いが出るようなこともありません。

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