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インフォグラフィックスでデザインをもっと魅力的に

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「インフォグラフィックス」という言葉を耳にしたことはありませんか?
これは「インフォメーション」と「グラフィックス」を掛け合わせた言葉で、「言葉だけでは伝わりにくい情報を視覚化して伝えるデザイン手法」のことを意味します。
一見和製英語のような響きではあるのですが、実は海外でもちゃんと通じる言葉なのです。


「インフォグラフィックス」という言葉は1970年代から1980年代にかけて一般的に使われるようになったと言われていますが、それ以前からも「情報を視覚化して伝える」手段としてダイアグラムやチャート、グラフ、地図や年表、ピクトグラムなどがあったわけですから、その歴史は相当長いものだと言うことができます。 私たちが「インフォグラフィックス」と聞いてすぐに連想するのは、例えば自然や社会の現象・物事を分かりやすく伝えるためのイラストレーションかもしれません。
特に複雑な情報を限られたスペースで整理したり、読者にスピーディーな理解を促すことが必要な場面で多く見られています。
そういう意味では、Webサイトやスマホアプリのボタンなどもインフォグラフィックスの一種だと見ることもできると思います。


インフォグラフィックスは、単に「見て・理解して・終わる」ものではありません。
見た人を次の行動へと導く指針ともなるのです。
例えば地図であれば、目的地までの距離や方向を図示することで、より早く、効率的にゴールに辿り着くサポートとなります。
ニュースなら、話題となっている出来事の経緯や相関関係などを伝え、問題の本質やその出来事と自分との関わりについて考えるキッカケとなります。


また、東京オリンピック開会式の「ピクトグラム50個の連続パフォーマンス」で、すっかりお茶の間でもおなじみとなったピクトグラムは、ハザードマップや非常口、避難経路の案内板などに用いられ、まさに命を救うという重要な役割も担っているのです。


では、なぜ「文字」ではなく「絵」で伝える必要があるのでしょうか?

社会の発展に伴い、経済活動はより大規模で複雑になり、伝えるべき情報の量も質も変化しています。ところが、人間は複雑なものを複雑なまま理解することができないわけです。
人間は元来怠け者ですから、情報を理解するために多くのリソースを消費することを避けてしまいがちです(だからこそ、TwitterなどのSNSがこれほど普及したとも言えます)。


人の感覚を直接的に刺激することができる図解=絵は、複雑な事象のアウトラインを瞬時に伝えることで、たとえその分野に詳しくない人であっても内容を理解することを助けることができるわけです。


またグローバル化が加速度的に進む中では、全く異なる言語や文化的背景を持つ人たち同士で同じ情報を共有することが必要となる場面が多く見られます。
その場合も、それぞれの言語を用いた文字情報よりも図解の方がはるかに伝わりやすいのです(空港の案内板などが良い例だと思います)。


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実は、歴史を振り返ってみると、インフォグラフィックスの発展に貢献したのは、デザインの専門家ではない場合が多いのです。
例えば「都市交通図の先駆け」と言われるロンドン市交通局のデザインの立役者は、広報マネージャーを務めたフランク・ピックですし、「アイソタイプ」と呼ばれる、非言語的な方法で情報伝達するための視覚記号を提唱したのはオットー・ノイラートという社会経済学者でした。


どちらも社会や経済の進歩を促すために、インフォグラフィックスを活用したわけです。
ですから、皆さんも「私はデザイナーじゃないし…」と躊躇せずに、「いかに情報をシンプルかつ的確に伝えるか」という観点で、インフォグラフィックスづくりに積極的に取り組んでみてください。


インフォグラフィックスに必要なこと


インフォグラフィックスを作成する前提として、伝えたい情報や目的は何であるのかを明確にすることが重要です。
また、先ほども触れたように、インフォグラフィックスは情報を視覚的に伝えるための手段ですから、シンプルで分かりやすいデザインを心がけましょう。
情報を詰め込まず、必要な情報に焦点を当てるようにすると良いと思います。


人の目をひく魅力的な表現であることはもちろん、情報が正確で適切に編集されていること、読者を誤解させないものであることも大切な要素となります。
ですから、より良いインフォグラフィックスを作るために必要なものは、いわゆるデザイナー的な「センス」ではなく、情報を読み解いて分かりやすく伝えるための、ある種の「翻訳力」だと言えるのではないでしょうか。


優れたインフォグラフィックスは、目的とターゲット(=読者)に合わせて作られています。
読者のニーズを理解し、それに適したデザインやスタイルを選択する、そこには他者への共感や思いやりがあり、それが人の心を動かすインフォグラフィックスにつながるのだと考えます。
皆さんも、ぜひ優しさをベースにしたインフォグラフィックスづくりにチャレンジしてみてください!

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