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印刷・製本コラム

糸かがり綴じとアジロ綴じで悩んだらどちらを選ぶべき?

古い本

本の綴じ方を決定するときには、本の持っている基本的な性能はもちろんコストなど様々な要素をしっかりと考慮した上で決めなければなりません。
まずは本の内容がとても重要なポイントになります。

例えば写真やイラストといったものが多い場合には、どのような綴じ方にするのかを確認しなければなりませんしページ数によっても用紙の書類や連量連量が決まってきます。
中でも用紙を選択するのは、最適な綴じ方を決定する上でとても重要なポイントになってきます。

当然ですが、全体のコストについては無視するわけにはいかないため製本を企画する段階から本の目的やコストをしっかりと考慮した上で、どのような仕様にするのかを全体的に見て判断していく必要があります。

また網代綴じにするのか糸かがり綴じにするのか、本文の綴じ方を選択するときには本の強度や耐久性にとても大きく影響してきますので、その違いを十分に考慮した上で理解していかなければなりません。
よく似た綴じ方であり強度の面で比較されやすい糸かがりとアジロ綴じのメリット・デメリットを確認していきましょう。


糸かがり綴じのメリット・デメリット


糸かがり綴じというのは一冊の本の巻頭からそして巻末までの折り丁を2本の糸だけで縫い合わせていく方法です。
本の判型、使用する綴じ機の種類によって綴る箇所は増えたり減ったりしますが、A4判の場合には6箇所ほどを綴じます。

糸が切れてしまったり紙が破けたりしなければ、ページが脱落してしまうこともありません。それぞれのページは綴じ糸によって下固めの工程において塗布される接着剤はそれぞれのページを固着させるほどの働きをするわけではありません。

接着剤の役割は隣接する折丁同士を接着するため、そして針穴から浸透した接着剤和綴じ糸を固着させ糸の緩みが起きるのを抑える働きがあります。
糸綴じの場合には折丁の間、針穴以外の部分は接着剤が入り込むこともないので、アジロ綴じに比べると、接着剤が広がる面積そのものは小さく、ノド元部分まで簡単に開くことができます。

折丁間以外の見開きとなるノド元の絵柄が接着剤によって損なわれてしまうリスクを最小限におさえられます。
特に様々な写真やイラストによって見開きが多い場合には他の閉じ方では得られない大きなメリットだと言います。

また用紙の種類や判型、束厚によって綴じ糸の太さ、毛質を選べ、それぞれの条件に適応した強度が得られます。


アジロ綴じのメリット・デメリット


丁合、断裁、さらにはくるみまでは1つの流れにすることができますので工程がとてもシンプルになります。
納期を短縮したりコストを削減するといったメリットがあります。

しかし網代綴じは折丁の背を切り裂いて、接着剤を浸透させた上で折り丁の中心部分にあるページを固定します。
糸かがりに比べると喉元につく接着剤の接着量が多くなりますので、ページの開きやすさという点では糸かがり綴じに比べて劣ります。

上製本で使用される接着剤は一般的なホットメルトに比べると粘度が低く、それでいて紙に効率よく浸透します。
そのため、安定した綴じ効果を得られます。
ただし、その一方でデメリットもあります。

四六判で110キロまでの上質紙において使用されるのであれば問題はありません。
しかし、コート紙の場合、接着剤が紙の中に浸透する速度が遅くなりますので塗布条件によっては喉元に接着剤が拡散することによるブロッキング現象が出てしまう可能性もあります。


なやむ

どちらを選ぶべき?


上質紙などを使用した文字が多い書籍の場合にはコスト面を考慮すると網代綴じを選択したとしても問題はありません。
上製本で使用されるアジロ綴じ用の接着剤というのは、並製本の接着剤とは違い経年劣化も少ないですし接着剤皮膜にも柔軟性が高いですので、安定した接着効果を得ることができます。
しかし、ただ読むだけの本ではなく日記帳などのように毎日何度も開閉をしたり記入するために大きく広げるような使い方をする場合には、開きやすさを確保した上でなおかつページの脱落などを予防するために糸かがりにしたほうがより使いやすい冊子を作れます。

また写真集や絵画などを集めた高級な本など、見開きの中心部分で絵柄が分断されてしまっては見栄えが悪いような場合、さらに大型の本ではデザイン性も高くなおかつ見やすさを重視して糸かがり綴じを取り入れるのがオススメです。

中型小型の辞典などの場合には以前であれば糸かがりが多く使用されていたのですが最近ではアジロ綴じで製本されることが増えています。

アジロ綴じについては折りの品質が一定の水準を必ず満たしているかどうかがとても重要になります。
32ページ折のような折数が増えれば増えるほど浮きが発生するリスクが高くなります。

印刷の品質はもちろんおり品質についてもしっかりと確認しなければなりませんし折り品質が十分に確保されていない場合にはページが抜けるなどの事故にもつながりますので充分に注意が必要です。

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